公開APIの活用例とその裏側
Dropboxの裏側とAPIの使われ方を紹介しましたが、続いてDropboxの公開API活用の事例とその裏側を紹介します。Dropbox API利用事例として典型的な利用方法は次のようなものがあります。
- 自社アプリケーション、製品とDropboxを連携し、ファイルをDropboxで管理する
- 自社ポータルサイトにPDFや動画などのDropboxコンテンツを埋め込む
- チームメンバーやフォルダ権限を人事異動やプロジェクト開始などに合わせて変更する
- チームメンバーのアクティビティを取得し、異常なログインや操作がないか監視する
- 受信したメールの添付ファイルを取り出し、Dropboxへアップロードする
例えば具体的には、Dropbox連携機能のあるデジタルカメラやスキャナーは、Dropbox APIを活用して撮影した写真やスキャンした書類を自動的にDropboxにアップロードできますし、企業内のユーザー情報を管理するシステムでは、メンバーの入社や退職などの人事情報をもとに「Dropbox Business API」で連携、企業用Dropbox Businessアカウントを自動的に発行したり、フォルダへの権限設定を変更したりするような用途で利用されています。
また、製品自体がDropbox連携機能をもっていなくても、メールサービスやチャットとDropboxをつなげる、というような利用者側がルール設定を選んで連携するサービスもあります。
たとえば、下の図2は「IFTTT(イフト)」というAPIを用いてサービス間を連携するためのサービスです。この例では、Dropboxの指定フォルダに保存したファイルを自動的にビジネスチャット「Slack」上で共有するような連携について設定しています。
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このように、“Dropbox連携”を謳っていない製品やサービスでもうまくサービスを組み合わせることによって、たくさんの手作業を集約して自動化したり、ほぼリアルタイムに連携したりするといった、一つのサービス単体ではできなかった価値が得られます。
さて、このように自動化できるのは、ユーザーに代わってプログラムが自動的に指定した処理をしてくれているからです。たとえば前掲のIFTTTを利用してDropboxと連携する場合、下の図3のようにIFTTTがDropboxのあなたのアカウントに対してアクセスして良いか確認を求められます。
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ここでこれらの操作を許可すれば、アプリケーション(この場合IFTTT)はあなたに代わってファイルをアップロードしたり、ファイルを別のフォルダに移動したりするといった処理をします。このように、公開APIでは多くの場合、どのような操作をして良いか利用者に最初に確認し、利用者はアプリケーションに操作権限を一部委譲することで自動化などの連携を実現しています。
なお、こういった連携を進めていく際には、連携しようとするアプリケーションが信頼できるものか確認するなど、セキュリティ面の考慮も必要となります。このような利用上の注意点についても次回以降連載中に紹介予定です。
次回はビジネス用途でのDropbox API活用事例を紹介します。
(第3回は6月上旬にて掲載予定)
- 岡崎 隆之
- Dropbox Japan アジア太平洋・日本地域統括ソリューション本部長
- サン・マイクロシステムズ、ACCESS、グリーを経てエンタープライズ分野からコンシューマー分野に渡る様々な分野でのエンジニアリングに従事。開発生産性や、チーム間の共同作業について様々な施策を実施し生産性向上に貢献。2015年からDropboxカスタマーサクセスチームに所属し、お客様の生産性向上に貢献している。