このように欧米では着々と進むスマートファクトリーだが、翻って国内企業が後手に回る理由は「サイロ化」にあると矢野氏は解説する。
「日本が遅れているわけではない」と前置きしながら、矢野氏は「(国内企業工場の取り込みは)粒度もレベル感もまちまちだが、欧米と比較するとデータ連携も工場や部門ごとに閉じたケースが多い。だが、欧米は現場展開を開始し、社外を含めた連携に着手している」と状況を説明。だからこそ、サイロ化を解消した上でデータ連携させた統合運用環境が必要になると同社は解説した。

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そのためには「データ構造を問わずにビジネスに関わるすべてのデータを(格納)対象とし、データ構造に適した格納方式の選択と(構造化と非構造化データの)両者を組み合わせて分析できるプラットフォームが必要」(田中氏)とTeradata Vantageを喧伝する。
Teradata Vantageは各種ソースから取り込んだデータを分類し、構造化データはData Store、非構造化データはNative Object Storeに格納する。「ユーザーは違いを意識することなく、SQLで透過的にアクセスできる」(田中氏)。後は格納した各データをAdvanced SQL Engineで分析し、マーケティングやビジネス判断の洞察材料につなげていく。

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国内OEMの某社は品質に影響を与える要因をユニット製造工程や部品製造工程から特定するため、生産装置のセンサーデータと検査結果データを組み合わせた分析を実行。その結果、歩留まりを低下させていた要因の特定と製造品質の向上に成功したという。
欧州のOEM某社も各情報から設備状態を予測するモデル開発を目指し、製造装置のセンサーと検査結果データから製造工程の効率化に成功と説明。日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部 シニアビジネスコンサルタント 小俵友之氏は「他設備への横展開も可能なため、各工場の生産性も向上した」と事例の詳細を説明した。
海外のOEM某社は予兆保全の最適化を目的に製造装置のセンサーに加えて、工場の環境条件や一定期間内の生産台数などを組み合わせ、製造装置が故障する前の事前保守に成功。その結果、製造装置故障時のダウンタイムや製造設備あたりの総保有コスト(TCO)削減などを実現したという。