AI OCR「DX Suite」のAI inside、AIモデル開発サービス--ノーコードで開発 - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2021-04-27 06:45

 Learning Centerはアカウント発行から学習データ作成までを無料で利用できる。モデルを設計した後で学習と推論(AIモデルを使う)に対して定額の利用料金が発生する。学習は月額10万円、推論は月額3万円となっている。利用料金は実際に利用した月だけ支払うことになる。例えば、AIモデルを開発した月だけ10万円を支払い、開発したAIモデルを使用すれば、毎月3万円を支払うことになる。

Learning Centerは「AIの民主化」をもたらす

 AI insideはまた、大日本印刷(DNP、新宿区)との協業も発表。DNPはLearning Centerを中核にしたAI活用支援サービスの提供を同日から開始した。

 AIの導入を希望する企業や自治体にLearning Centerの販売や活用のプランニングを提供。AIモデル生成に必要な関連情報のアノテーション作業をDNPが請け負う「アノテーションBPO」も販売する。データの収集や保管などの周辺サービスも組み合わせて提供する。これらのサービスを利用することでユーザー企業は簡単にAIモデルを開発、検証できるとメリットを強調した。

 イベントに登壇したDNP 情報イノベーション事業部担当常務執行役員の沼野芳樹氏は「アノテーションは時間がかかる作業。取り扱うデータには個人情報も含まれることもある」と説明。DNPは、企業の業務プロセスを請け負うBPOを手掛けており、プライバシーマークや情報セキュリティ管理実施基準「ISO/IEC27001」に準拠したマネジメント体制を取っており、今回のアノテーションBPOについてもユーザー企業に安心、安全を提供できるとメリットを強調している。

 DNPでは、BPO事業の中で手書き文字のデジタル化工程でAI OCRを検討していたが、「一番優秀だったのがDX Suite」(沼野氏)。2018年2月にAI insideとDNPは資本提携。2019年にはDNPからAI insideに従業員を出向させて共同で研究開発するようになっている。その成果の一部がLearning Centerであると説明した。

 両社はワークショップを開催し、DNPで製造するICカードの出荷時のホログラム外観検査用AIを開発した。開発には通常数カ月かかるところ、製造現場のスタッフがLearning Centerを利用し、企画から学習用データセットの作成、AI開発、精度検証までを30日で済ませた。開発に使用した画像データは約100枚と少量だが、精度は約92%という。

 ノーコードでAIモデルを開発できるLearning Centerについて沼野氏は「AIの民主化」と表現した。既存のAIでは、専門の教育を受けた専門家であるAIエンジニアなどが開発することが一般的だが、Learning Centerでは、専門家ではなくてもAIモデルを開発できることが特長となっている。

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