一つ目は、「ミッションクリティカルシステム向けの強化」だ。顧客のシステムをオンプレミス環境から「そのまま」、「まるごと」移行できるような仕組みを継続し、クラウド移行における顧客の負荷を削減。また、ネットワークアーキテクチャの見直しとハイエンドストレージ「Dell EMC PowerMax」の採用により、定期メンテナンスや障害時の顧客のシステムへの影響を極小化している。さらに、東西2拠点を活用した、事業継続計画(BCP)実現のためのサービスを提供する。
二つ目は、「オンプレミスSIに劣らない柔軟なサービス」だ。顧客側で自由にネットワークセグメントを作成できるなどセルフサービス範囲を拡大し、「VMware NSX-T Data Center」環境と、持ち込み機器や物理、仮想占有サーバとの高速接続が可能な「Cisco ACI」環境の2つの環境を選択可能。また、高機能、高性能なネットワーク機能や性能保証モデルのブロックストレージ、オブジェクトストレージなどラインアップを大幅に拡充している。
三つ目は、「マルチクラウド対応の強化」だ。マルチクラウドポータルで、複数のクラウドサービスおよびabsonne新サービスの一元管理が可能。また、マルチクラウド回線接続サービスで、パブリッククラウドへの閉域網接続構築期間を短縮。さらに、absonneと同様の環境を顧客側のデータセンターに設置し、運用管理を含むマネージドサービスとして提供することで、顧客のデータセンター資産を生かすことができる。
四つ目は、「最新テクノロジートレンドへの追随」だ。「VMware Tanzu」の活用や「VMware Marketplace」への対応などVMware Platformのサービス展開を強化。また、Red Hat Platformベースのクラウドサービス「absonne D3」との連携強化も図っている。
ミッションクリティカルシステムの可用性と柔軟性を追求
以上が発表の内容だが、今回NSSOLのクラウドサービスの強化を取り上げたのは、企業の基幹業務をはじめとしたミッションクリティカルシステムを数多く手掛けるシステムインテグレーター(SIer)ならではの取り組みだと感じたからだ。
改めて、今回のabsonne新サービスのセールスポイントを聞いたところ、同社ITインフラソリューション事業本部クラウドプラットフォーム事業部クラウドソリューション部長の小野寺一浩氏が次のように答えてくれた。
「企業のシステム全てをパブリッククラウドに移行することは困難であり、ミッションクリティカルシステムの基盤としてはマネージドクラウドのような受け皿が求められている。今回の新サービスでは、ミッションクリティカルなシステムの基盤に求められる可用性と柔軟性を強化したことが最大の特長だ。今後も、新しいabsonneをベースに、コンテナ対応やセキュリティ強化などミッションクリティカル領域に求められる最新技術を継続的に採用していく予定だ」
さらに、筆者から見ると、上記の特長の3つ目に挙げられているマルチクラウド対応の強化も、多様な顧客ニーズに対応するSIerならではの取り組みだ。(図2)
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今後、企業のミッションクリティカルシステムがクラウドを有効活用しながら、どのように進化していくか。NSSOLのビジネスがその“映し鏡”となりそうだ。