Tableau Softwareは4月27日、同社ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの最新版「Tableau 2021.1」と、新たなコンセプト「ビジネスサイエンス」について報道関係者向けのオンライン説明会を開催した。
Tabluau Software カントリーマネージャーの佐藤豊氏は、「今日の世界はより複雑かつ加速になっており、ますます迅速かつ正確な意思決定が求められるようになってきている」とした上で、「データドリブン企業の75%が(新型コロナウイルス感染症の)パンデミックで圧倒的な優位性を得ている」という調査結果を紹介した。
Tableau Software カントリーマネージャーの佐藤豊氏
新バージョンであるTableau 2021.1の主な強化点
また、「デジタルの格差が広がっていると同時に、データからインサイト(洞察)を得てお客さまに合わせたビジネス変革に成功している企業も確実に出てきている」と語り、データ分析の重要性を改めて強調した。
「大規模かつ効果的にデータを分析していくためには、世の中にあまりにも大量のデータが溢れるような状況になってきている。その結果、インサイトを得るまでのスピードにも格差が生じてきている」(佐藤氏)
さらに、「データサイエンス/人工知能(AI)はビジネスユーザーにとって簡単に使えるものではなく、なかなか手が届かないものであるということ。実装/実行できるのはデータサイエンティストに限られるのが現状だが、全ての企業にデータサイエンティストチームやデータサイエンティストがいるわけではない」との課題を指摘し、「ユーザーがデータを見て理解するだけでなく、最新のAI技術を使ってより良い意思決定をスピーディーにできるように支援していきたい」との考えからAIを活用した新たな取り組みとしてビジネスサイエンスを説明した。
ビジネスサイエンスについて、同氏は「新世代のAI搭載の分析で、ビジネスユーザーでもデータ分析技術を活用できる。ビジネスを知っている人がデータを手にしたときに効果がある。ただデータを手にしただけではなかなかインサイトを得られないケースがあるので、ここにサイエンスとインサイトを入れることで、今までにないよりスマートかつ迅速な意思決定ができるようになる」といい、「ビジネスサイエンスにより、ビジネスユーザーはインサイトにより早く到達して、自信をもって意思決定ができるようになる」とした。
以前から提供されているデータサイエンス機能との違いについては、「データサイエンスそのものは、時には適切なソリューションだが、社会情勢がダイナミックに変わるような環境下で、同様にビジネスの課題が変わっていく中、リアルタイムでビジネスの課題に対応するために高度に精密なビジネスモデルが常に必要というわけではない」という。
データサイエンスとビジネスサイエンスの違いを端的に示すイメージ。ビジネスの変化に素早く追従できる即時性をもって有用なインサイトを提供することが狙い
データサイエンスとビジネスサイエンスはそれぞれ狙いが異なり、担当する人も異なってくる。ビジネスサイエンス機能は、従来は乖離(かいり)があったビジネスユーザーとデータサイエンティストの間を取り持つ役割も果たすことが期待される
データサイエンスでは、高度で精緻なモデルを構築する必要があることから、専門のデータサイエンティストなどの参加が不可欠で実現までに時間を要するが、ビジネスに有用な知見を必要なタイミングで得るためにはそこまでの精密さは不要、という実用本位の考え方と見ることもできるだろう。
内部的には「Salesforce Einstein」をAIエンジンとして活用しているため、Salesforce.comによるTableau買収の成果と見ることもできるが、Tableauではそれ以前からAI活用に段階的に着手していたといい、買収以後に急に始めた取り組みではないとのことだ。
Salesforce Einsteinの予測機能をTableauのデータ分析に採り入れ、組み合わせることでビジネスサイエンスのコンセプトに沿ったインサイト提供を実現している
同氏はAIの活用について「仕事をより速く賢くすることに役立ち、それまで気づいていなかったインサイトを発掘し、大規模な変革を推進する力が深まる。ビジネスサイエンスがAIの機能を民主化することで、ユーザー企業にさまざまな支援ができる」としている。