さまざまな調査で、従来のリーダーシップスタイルは、コラボレーションと説明責任を重視するアジャイルマネジメントの手法に取って代わられつつあることが示されている。
多くのビジネスリーダーが、このリーダーシップのスタイルは、目まぐるしく変わる経営環境に合わせて素早くビジネスモデルを変えていく必要があったこの1年の新しい働き方に、非常に適していたと述べている。
それに加え、アジャイルの手法は今後も利用され続けると考える専門家が増えている。英国の大手石油会社であるBPで人材獲得およびマッチング担当バイスプレジデントを務めているChris Porter氏も、そう考えるビジネスリーダーの1人だ。同氏は、アジャイルなリーダーシップスタイルは、従業員をエンパワーし積極性を引き出すために役立つと考えている。
「私は人事担当役員として、アジャイルで重要なのは、意思決定を分散させ、従業員に自分たちは仕事に必要な権限を持っていると理解させ、1度に1つの問題に集中する企業文化を作ることだと考えている」と同氏は言う。
Porter氏やその他のBPの幹部は、これまでアジャイルな仕事のスタイルを活用する方法を模索してきた。これには、同社における一連の実験や導入事例を通じて、アジャイルソフトウェア開発の原則をあらゆる種類のビジネスタスクの管理に適用することも含まれている。それらの経験が有意義だったことから、同氏はアジャイルのリーダーシップスタイルにはメリットがあると信じるようになった。
「組織設計の観点から言えば、アジャイルの導入は素晴らしいことだ。私たちは、アジャイルが従業員にどのような影響を与えるかを楽しみにしており、今後はこのような考え方を導入する部門を増やしていきたい」と同氏は述べている。
Porter氏は、2020年に行った組織再編プロセスの一環として、従業員のうち1万5000人がすでにアジャイルを前提とした業務組織で働いていると米ZDNetに説明した。
この組織再編は、2050年までに事業をネットゼロ化するという目標を実現するための改革を支えるもので、同社は低炭素な電力とエネルギー、利便性とモビリティ、強靱で的を絞った製品ポートフォリオという3つの重点事業領域に力を集中している。そのためには、低コストで低炭素な石油、ガス、精製処理プロセスの開発が重要になる。
コンサルティング企業のMcKinseyは、アジャイルマネジメントのリーダーは、企業の設計と文化の核にアジャイル性を据えることで組織を変革する能力を高めていると述べている。Porter氏も、同社の組織再編のプロセスで同様のことを認識したという。