「Mobile World Congress(MWC)」が6月末にスペインのバルセロナで開催されるのを皮切りに、大規模なテック関連のイベントが現地開催になるかもしれないと聞いた時、どのように実現できるのかが筆者には分からなかった。米国は新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、通常のような生活に戻るかもしれないが、欧州の大部分はそうではなさそうだ。そのため、世界最大級の家電見本市「IFA Berlin」が開催されないことになったと聞いても驚きはなかった。
IFAを主催するMesse Berlinとgfu Consumer & Home Electronicsは、「IFA 2021は9月に開催されない」と発表した。
理由はシンプルだ。「最終的に、世界的な保健衛生に関するいくつかの重要な指標が、期待されていたほど早く好転しなかった。例えば南アジアで、新型コロナウイルスの新たな変異種が急速に発生し、世界各地でワクチン接種プログラムが展開されるスピードも不確実な状況が続く」ということだ。
もう1つの理由は、会場となるMesse Berlinの「一部がワクチン接種センターと救急医療施設となっており、新型コロナウイルスとの戦いを支えるために」利用され続けていることだ。
欧州で新型コロナウイルスの感染は縮小傾向にあるものの、ドイツのみでも、1日あたりの新規感染は最新の数字で9796件にのぼっている。
欧州で予定されているもう1つの世界的なテクノロジー見本市であるMWCは、現時点で開催される予定だ。テレコム大手のQualcomm、Ericssonのほか、Google、IBM、Lenovo、Nokia、Oracle、サムスン、ソニーなどは現地での発表を行わないとみられている。主催するGSMAは現時点では開催する意向だ。
スペイン政府が観光客を戻したい強く考えていることも、MWCを開催する理由の1つかもしれない。スペインのReyes Maroto産業通商観光大臣は、「スペインは2021年に約4500万人の外国人観光客を迎える見込みだが、この数字はパンデミック前の2019年の半分強にすぎない」と話したと報じられている。
いずれにせよ、欧州連合(EU)はワクチン接種を完了したEU圏内への渡航者に対し、隔離措置なしで入域することを許可する方針だと報じられている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。