Box Japanは5月28日、同社の新戦略と、企業向けのクラウドストレージ「Box」における機能アップデートについて説明会を開催した。
説明会に登壇した執行役員 マーケティング部 部長の三原茂氏は、新戦略について「米国本社のBoxは、2月に電子署名ソリューション企業SignRequestの買収意向を発表し、それに伴い『コンテンツクラウド』という新たなブランドキーワードを打ち出した。このキーワードを国内でも本格展開していきたい」と語った。
「コンテンツクラウド」という言葉には、コンテンツをクラウドに上げて活用/管理するというBoxの役割を込めたという。Boxは、あらゆるコンテンツのライフサイクルを支える基盤として利用されているが、これまでは一言で言い表すのが難しかったそうだ。
「セールスフォース・ドットコムが『セールスクラウド』、Adobeが『マーケティングクラウド』、Snowflakeが『データクラウド』と言うように、Boxはコンテンツクラウドというブランドキーワードを使っていきたい」と三原氏は述べた。
新機能には、セキュリティ/ガバナンス機能のアップデートや、Cisco Systemsのウェブ会議ツール「Webex」との連携がある。
セキュリティ/ガバナンス機能のアップデートでは、認証の利便性と安全性を向上させた。Box内にあるコンテンツや業務アプリケーションにアクセスする際、これまではID/パスワードの入力に加え、SMS(ショートメッセージサービス)を活用して二段階認証を実施していた。今回の機能強化では、認証方法をSMSとTOTP(Time-based One-time Password:一定の時間おきに生成されるワンタイムパスワード)にすることで、より便利で安全性の高い二段階認証を可能にしたという。
Boxではシングルサインオンでも、コンテンツや業務アプリケーションにアクセスすることができる。利用できるIDプロバイダーはこれまで、「Okta」「OneLogin」「Microsoft Azure」「ADFS」だったが、今回「Google Cloud」が追加された。
また、オプションのセキュリティ製品「Box Shield」における「スマートアクセス」のカテゴリーを強化。Boxでは、ユーザーが情報の機密性の度合いを示すラベルをコンテンツに付与すると、機密性が高いコンテンツは公開範囲が制限されるなど、ラベルに応じたセキュリティ設定が自動的に行われる。これにより、人的ミスによる情報漏えいといったリスクを低減することができる。
今回、「Microsoft Information Protection」(MIP)のラベルとBox Shieldのラベルを同期させたことで、異なる環境をまたいでセキュリティ設定を行えるようになった。例えば、「Microsoft Office」を起動させて「Word」で文書を作成した際、ページ右上のタブをクリックすると「公開資料」「社外秘」「極秘資料」という選択肢が出てくる(図1)。その中からラベルを選択してBoxへアップロードすると、MIPでの設定が自動認識される。
図1:Wordの画面からそのままラベルを選択できる(出典:Box Japan)
加えて、コンテンツをスキャンすることで、その中に含まれているデータを検出できるようになった。検出するデータには、連絡先やクレジットカード番号などの個人識別情報に加え、「マイナンバー」「NDA(秘密保持契約)」といった文言を独自に設定することが可能。そして、「最高機密」「機密」「公開」などに分類し、社内外の共有やダウンロードが可能か否かを判断する。
Webexとの連携では、Boxでコンテンツを開くと右側に連携しているツールが一覧表示され、Webexを選択するとミーティングの設定や参加が可能となる。また、ミーティングの最中やWebexのグループチャット機能「Space」で、Box内のコンテンツを共有することができる。