NECは、人工知能(AI)による内視鏡画像解析で、バレット食道に発生する腫瘍を検知する技術を開発した。なお、この技術は世界で初めて製品として欧州の安全規格であるCEマーク表示の要件に適合した。今回、AI診断支援医療機器ソフトウェア「WISE VISION Endoscopy」に同技術を搭載し、欧州において販売を開始する。
WISE VISION Endoscopyを既存の内視鏡機器に接続することで、内視鏡検査時に撮影する画像からその場でAIにより腫瘍候補を検出し、内視鏡医による腫瘍の発見を支援する。
バレット食道は、食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織に置き換えられてしまう病気であり、バレット食道になると食道がんになる危険性が高くなるとされている。
バレット食道に発生する初期の腫瘍を摘除することで、進行がんの発症を防ぐことができるため、罹患者には定期的に内視鏡検査を受けることが推奨されている。だが、初期の腫瘍は内視鏡により視認できる病変としての特徴が軽微であるため、その発見が難しいという。
欧米では、無作為に行う生体検査(ランダム生検)により腫瘍の検出を行うのが標準的な検査方法だという。しかし、ランダム生検はコストと時間がかかり、患者の負担も大きく順守率が30〜51%と推測されている。
NECは、欧州消化器内視鏡学会(European Society of Gastrointestinal Endoscopy)研究委員会委員長であるPradeep Bhandari(プラディープ・バンダリ)教授と連携し、100万枚以上のバレット食道の内視鏡画像を専門医の所見と併せてAIに学習させ、腫瘍候補を検査中に検出するAI技術を開発した。
開発に当たりNECは、自社の顔認証技術を応用している。臨床評価の結果、同技術を搭載したAI診断支援医療機器ソフトウェアは、90%以上の腫瘍を検出することができたという。