第3回と第4回では、業務のデジタル化を推進している企業の事例として、ノーコードツール「SmartDB(スマートデービー)」を活用する2社の取り組みを紹介してきた。どちらも現場の業務部門が主体となって自らの業務を改善しようという取り組みで、ノーコードだからこそ実現可能なデジタルの民主化の具体例といえる。
最終回となる今回は、改めてノーコードが切り拓く「デジタルの民主化」の意味について考察し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現にむけて、経営者、事業部門、ITプロフェッショナルのそれぞれがどのようにノーコードの世界に向き合うかを紹介したい。
デジタル化の意味
DXという言葉があふれている。これが何を意味するのかについてはさまざまな意見があるが、いずれであっても情報をデジタル化し、コンピューターシステムで取り扱える状態にするということは共通する。DXの第一歩はデジタル化にあるのだ。
これを実現するためには、事業におけるデータとプロセスを理解し、構造化し、正規化し、コンピューターシステムのスキーマとして定義し、データのライフサイクルをフローとしてプログラミングする必要があった。
事業を理解し、構造化し、スキーマを定義して、フローをプログラミングするという手順は、アナログの世界における業務改革のプロセスに通じる。
状態を可視化し、プロセスを整理し、仕組みに落とし込み、仕組みがうまく回るように組織や制度、そして仕組み自体を調整するというやり方そのものだ。
ノーコードの世界によって、これまではITに関する知識や経験がなく、システム部門やベンダーにお願いするほかなかった業務部門が、自らのデジタル化に取り組むことが可能になった。
業務のことを最もよく知り、自らがユーザーとなるわけで、必然的に、必要にして十分なデジタル化を最も短期間で達成できるようになる。
業務に適したノーコードツール選択
第1回で紹介したとおり、ノーコード/ローコードといってもさまざまなタイプがあり、作成したいアプリケーションによってどのタイプを選択するのか重要だ。
企業における事業部門の業務のデジタル化に適したノーコードツールは、特定業務型か、データベース+ワークフロー型になる。
「営業のプロセスを管理したい」や「社内のヘルプデスクを構築したい」というように目的が明確な場合は、SaaSで提供される汎用的なアプリケーションやフォーマットを利用しつつ、ノーコード開発で自社向けのオリジナルアプリを開発し、ニーズがカバーできるかどうかを判断することになる。
業務範囲がSaaSアプリではカバーしきれない場合や、複雑なプロセス、多くの部門が関わるようなケースは、データベース+ワークフロー型の柔軟性が役に立つ。
ノーコードでカバーできる範囲の広さを特徴とするSmartDBは、多くの大企業のあらゆる現場のニーズを元に開発しており、2社の事例で紹介したような細かな業務までを含め、数千の業務をデジタル化するといったことも可能だ。