「デジタルの民主化」の勘所--部分最適に陥らない、過去の失敗を繰り返さない

石田健亮 (ドリーム・アーツ)

2021-07-12 07:00

 第3回と第4回では、業務のデジタル化を推進している企業の事例として、ノーコードツール「SmartDB(スマートデービー)」を活用する2社の取り組みを紹介してきた。どちらも現場の業務部門が主体となって自らの業務を改善しようという取り組みで、ノーコードだからこそ実現可能なデジタルの民主化の具体例といえる。

 最終回となる今回は、改めてノーコードが切り拓く「デジタルの民主化」の意味について考察し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現にむけて、経営者、事業部門、ITプロフェッショナルのそれぞれがどのようにノーコードの世界に向き合うかを紹介したい。

デジタル化の意味

 DXという言葉があふれている。これが何を意味するのかについてはさまざまな意見があるが、いずれであっても情報をデジタル化し、コンピューターシステムで取り扱える状態にするということは共通する。DXの第一歩はデジタル化にあるのだ。

 これを実現するためには、事業におけるデータとプロセスを理解し、構造化し、正規化し、コンピューターシステムのスキーマとして定義し、データのライフサイクルをフローとしてプログラミングする必要があった。

 事業を理解し、構造化し、スキーマを定義して、フローをプログラミングするという手順は、アナログの世界における業務改革のプロセスに通じる。

 状態を可視化し、プロセスを整理し、仕組みに落とし込み、仕組みがうまく回るように組織や制度、そして仕組み自体を調整するというやり方そのものだ。

 ノーコードの世界によって、これまではITに関する知識や経験がなく、システム部門やベンダーにお願いするほかなかった業務部門が、自らのデジタル化に取り組むことが可能になった。

 業務のことを最もよく知り、自らがユーザーとなるわけで、必然的に、必要にして十分なデジタル化を最も短期間で達成できるようになる。

業務に適したノーコードツール選択

 第1回で紹介したとおり、ノーコード/ローコードといってもさまざまなタイプがあり、作成したいアプリケーションによってどのタイプを選択するのか重要だ。

 企業における事業部門の業務のデジタル化に適したノーコードツールは、特定業務型か、データベース+ワークフロー型になる。

 「営業のプロセスを管理したい」や「社内のヘルプデスクを構築したい」というように目的が明確な場合は、SaaSで提供される汎用的なアプリケーションやフォーマットを利用しつつ、ノーコード開発で自社向けのオリジナルアプリを開発し、ニーズがカバーできるかどうかを判断することになる。

 業務範囲がSaaSアプリではカバーしきれない場合や、複雑なプロセス、多くの部門が関わるようなケースは、データベース+ワークフロー型の柔軟性が役に立つ。

 ノーコードでカバーできる範囲の広さを特徴とするSmartDBは、多くの大企業のあらゆる現場のニーズを元に開発しており、2社の事例で紹介したような細かな業務までを含め、数千の業務をデジタル化するといったことも可能だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]