The Linux Foundationは6月、Target、Microsoft、Veritoneなどの企業と共同で、音声技術の標準を策定し、消費者からの音声技術に対する信頼を得るための取り組みを行う団体である「Open Voice Network」を設立した。
Open Voice NetworkのエグゼクティブディレクターJon Stine氏は、米ZDNetの取材に対して、世界的に音声アシスタントを利用できる場面が急激に増えており、人工知能(AI)が多用されるようになるにつれてインターフェースやデータソースとしての音声に対する期待も高まっていることから、音声技術に関する標準をコミュニティの活動として定めることが重要になっていると語った。
最近では、デバイスやアプリケーションの起動や操作に音声が使われることが増えている。The Linux FoundationのシニアバイスプレジデントMike Dolan氏は、Open Voice Networkは「AIを使った音声技術で作成されたディープフェイクへの積極的な対抗策」だと述べている。
Dolan氏は、「音声は今後、デジタル世界の主要なインターフェースの1つになり、ユーザーと無数のサイトやスマート環境、AIボットをつなぐ存在になると考えられている。音声技術はスマートピーカー以外でも使われることが増えており、自動車や、スマートフォンや、さまざまな家電でも使われている。企業がこれらの機能を取り入れ、消費者が音声技術に慣れ親しみ快適に利用できるようにするためには、オープンな標準を導入することが重要だ」と説明し、「The Linux Foundationのオープンなガバナンスモデルの元でその取り組みを推進し、コミュニティを成長させ、将来への道を切り開けることを嬉しく思っている」と語った。
The Linux Foundationは、AIを使用した音声アシスタントシステムの導入を支えるオープン標準の普及に努めると述べている。
団体の設立には、Target、Microsoft、Veritone以外にも、Schwarz Gruppe、Wegmans Food Markets、Deutsche Telekomが参加している。
Veritoneの共同創業者であり、同社のプレジデントを務めるRyan Steelberg氏によれば、消費者との間に信頼関係を確立し、音声の所有者を保護するには、合成音声コンテンツの作成と利用に関する自己規制が必要不可欠だという。
Steelberg氏は、「イノベーションのスピードとインフルエンサーマーケティングの需要に追いつくためには、Open Voice Networkを通じて、教育とグローバルな標準策定のためのオープンなネットワークを作るしかない。Veritoneの『サービスとしての音声』ソリューションである『MARVEL.ai』は、OVNとパートナーシップを結んで、当社がスポーツ、メディア、エンターテインメントなどの各分野で連携している音声ブランドを保護するためのベストプラクティスを構築していく」と述べている。
これまでにすでに何千もの企業や組織が、サービスを合理化し、ユーザー体験を改善するための手段として、現在提供されている汎用の音声技術プラットフォームとは別に、それぞれ独自に音声アシスタントシステムを開発してきた。
The Linux Foundationのプレスリリースでは、Open Voice Networkは「信頼でき、包摂的で、オープンな音声アシスタントシステムの標準と利用ガイドラインを提供する」ことによってそれらの汎用音声プラットフォームの進歩を後押しすると述べている。同団体はまた、音声技術に特化したユーザーのプライバシー保護やデータセキュリティに関する指針、音声アシスタントを各プラットフォームで相互運用可能にするための手段を提供するという。