「データの民主化」のススメ

業務で生かされるビジネスサイエンスの意義

佐藤豊 (Tableau)

2021-08-27 06:00

 前回は、データ分析をビジネスに生かす上での課題や要求などに、ビジネスサイエンスが必要とされる背景をご紹介しました。今回は、AI(人工知能)で予測分析を可能にするビジネスサイエンスの意義について説明します。

意思決定を変える「ビジネスサイエンス」とは

 AIや機械学習のテクノロジーを分析に導入することで、データサイエンスの技術をビジネスパーソンが使用できるようになります。従来のデータサイエンスのプロセスでは、多くのビジネス上の問題に対して高い精度を追求するあまり、現実的ではないソリューションを選んでしまう場合があります。従来のカスタムモデルの展開と統合は複雑なものであるにも関わらず、統計学者やデータサイエンティストには、エンドユーザーが利用・実行可能なソリューションを求められるからです。

 ビジネスサイエンスによって予測モデルを作成し、反復して使用することで、ビジネスパーソンがデータ分析に基づいて迅速に考え、自信を持って行動する能力を高めることができます。プログラミングや高度な統計などの知識がなくても、ビジネス上の課題に対してデータドリブンの手法で回答を得られるようになります。つまり予測、what-if シナリオ、フォーキャストおよびその他の多くの分析方法を使用して、データを探索できます。

 より多くの人々がカスタム予測モデル、シミュレーションおよびシナリオ計画、クラスタリング、オンデマンドモデルなどのデータサイエンス機能を利用でき、業界に特化した専門知識を持つ人にとっては、よりスマートな意思決定をより迅速に行うことができるようになります。

 ビジネスサイエンスでは、従来の人の判断力に頼りながらも、一層多くのビジネス上の問題に高度な分析を応用し、重要な意思決定のスピードを速め、精密を高めることができます。ビジネスサイエンスを利用することで、ビジネスの問題の核心に近づくことができ、従来と比較してより明確かつ正確に問題点や解決策が見えてきます。また意思決定において、予測をさらに容易に手に入れることができるようになり、長期的な視点や視座を得られるようになります。従来のデータサイエンティストに頼っていた予測を多くのビジネスパーソン自身の手で意思決定に反映できるようになり、企業全体の仕事の質向上に大きく寄与します。

 ビジネスサイエンスは、繰り返し応用できるものであり、データサイエンスほどの厳密さを必要とせず、組織を前進させるデータドリブンの意思決定を導き出します。時には、プロジェクトによって複雑な分析を必要とし、データサイエンティストに引き継ぐまでにおいても、ビジネスサイエンスの分析によって、ビジネスを前進させられる場合もあります。

 企業は、データとAIの力を最大限活用するビジネスサイエンスにより、今までにない変革を実行し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させることができます。データに基づく意思決定が変革につながる行動(アクション)を生み出すためです。その力をより多くのビジネスパーソンが手に入れることで、企業全体で変革が加速されます。

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