人工知能(AI)や機械学習(ML)によって導き出される意思決定がますます増加する中、企業はその意思決定を信頼できるのだろうか。これらの意思決定はより詳細に吟味し、均衡を取る必要がある--ITリーダーやITプロフェッショナルは、AIが公平で偏向しておらず、可能な限り正確であることを保証しなければならない。これはつまり、さらなる訓練と、データプラットフォームに対するより多くの投資が必要だということを意味している。米ZDNetがIT部門の幹部を対象に実施した新たな調査の結果によると、企業はこれらの目標を達成するために、データエンジニアとデータサイエンティスト、開発者をより多く必要としているという。
この調査の結果、ほとんどの企業においてAIとMLのイニシアチブが前面に押し出されていることが確認できた。米ZDNetが調査を実施した2021年8月の時点で、AIベースのテクノロジーを積極的に構築あるいは配備している企業は半数近く(44%)であり、開発プロジェクトを推進中であるとしたのは22%だった。また、この分野の取り組みはまだ始まったばかりの段階のようであり、調査対象企業のうちAIの取り組みを開始して3年未満のところは59%だった。なお、調査の回答者には幹部や最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)、アナリスト/システムアナリスト、エンタープライズアーキテクト、開発者、プロジェクトマネージャーが含まれている。また、対象の業界にはテクノロジーやサービス、小売、金融サービスが含まれている。企業の規模はさまざまだ。
Amazon Web Services(AWS)のML担当バイスプレジデントであるSwami Sivasubramanian氏は、これをAIとMLの「黄金時代」と呼んでいる。というのもこの種のテクノロジーが「世界中の企業の中核に据えられるようになってきている」ためだという。
この種の取り組みで主導権を握っているのはITチームであり、ほとんどの企業は社内でシステムを開発しているようだ。社内のIT要員によって自社のAIシステムを開発、保守していると答えたのは3分の2近く(63%)であり、SaaSプロバイダーを介してAI関連のサービスにサブスクライブしているのは半数近く(45%)、PaaSを利用しているのは30%、社外のコンサルタントやサービス企業に頼っているのは28%だった。
そして、AIやMLを主導するのはたいていの場合、最高デジタル責任者(CDO)や最高データ責任者(CDO)、最高分析責任者(CAO)となっているようだ。これらの幹部が主な意思決定者だと答えた回答者は50%に上っており、個々の部門の責任者が該当プロセスにおける役割を担っていると答えたのは42%だった。さらに企業としてAIの監督機関を用意していると答えた組織は33%であり、データサイエンティストとアナリストにAIやMLの責任を担わせていると答えた組織はそのうちの3分の1だった。なお、興味深いことにCIOとCTOが関与している企業は25%にすぎなかった。
一方、AIはITプロフェッショナルや他の従業員の日々の業務に完全に浸透しているとは言い難いようだ。例を挙げると、ITワークフォースの日々のほとんどの作業が直接AIを用いている、あるいは日常的にAIテクノロジーにアクセスしていると答えた回答者は14%にすぎなかった。