最高データ責任者とは?
最高データ責任者(CDO)は、組織全体の情報の管理と活用に対する責任を担う上級役員だ。この「データの管理と活用」には、さまざまなシステムやサービスが利用される。これには、ビジネスインテリジェンスや高度なアナリティクス、データマイニング、機械学習、さらには人工知能(AI)が含まれる場合もある。
最高データ責任者が担う職責はどんなもの?
CDOは、顧客のトレンドの予測や、新たな収益機会の発見といった、データアナリティクスを利用できる機会を模索する役割を負っている。
利用するデータは顧客情報である場合もあれば、IoTセンサやソーシャルメディアから収集したものである場合もあり、構造化データもあれば非構造化データもある。要するに、企業が自ら集めた情報も、社外から購入した情報も含めた、あらゆるデータが利用される。CDOはデータの安全性を確保し保守する責任を負っているが、この役職の仕事は、情報に関する技術的な判断(例えば情報の保管にデータウェアハウスとデータレイクのどちらを使うかといった問題や、マスターデータの管理など)だけにはとどまらない。事業部門にデジタル資産の価値を理解させ、得られた知見を競争で有利に戦うために利用する発想を持たせるのもCDOの役割だ。
現代企業にとってデータは魅力的な資産だが、多くの企業は必ずしも情報をうまく管理できていない。調査会社Gartnerによれば、企業が保有するデータを管理し、利用する際に、CDOが重要な役割を果たす理由の一端はそこにあるという。
ロンドンに本社を置く配車サービスAddison Leeのグローバル最高情報責任者(CIO)Ian Cohen氏は、データのガバナンスとアナリティクスという2つの役割を担うCDOは、現代企業にとって重要な役職だと述べている。データの扱いに長けた幹部役員がいない企業は、今後自ら泥沼にはまり込みかねない。
「特に現在の状況を考えれば、自社の情報を十分に活用できない企業は無鉄砲だと言っていい。自分たちがこれまで何をして、何を学び、それに対してどう対処しようとしているかを知ることは不可欠だ」と同氏は述べている。
なぜこれほどの勢いで最高データ責任者の重要性が認知されたのか?
CDOの重要性に対する認識は急速に広まった。この役職が登場したのは最近のことだが、調査によれば、CDOの役職を設けている企業の数は、2012年以降4倍以上になっている。Gartnerは、大企業の90%が2019年中にCDOを配置すると予想していた。