The Estee Lauder Companiesは上級マネジメントチームの一員とするべく、最高分析責任者(CAO)という役職を設けた。この重要な役職について、そしてこれがデジタル変革への取り組みにもたらす影響について知ってほしい。CAOは、データ科学から文化に至るまでを網羅する、思いのほか複雑な役職なのだ。
データ科学やアナリティクスはデジタル変革の基盤と言えるだろう。アナリティクスが業務上の意思決定で中心的な役割を果たすようになる中、データのガバナンスとスチュワードシップはイノベーションにおける不可欠な構成要素となっている。
CAOは、データ科学者や業務ユーザー、IT部門、その他の利害関係者を結びつけ、全社的なデータエコシステムを作り上げるためのより良い戦略策定に向けて支援を提供する新たな役割を担う。社内の部門をまたがり、データやアナリティクスの幅広い文化を醸成するというのが、CAOの役割の中核となる。
筆者はさまざまな業界における企業のリーダーらとデジタル変革について話をしてきた。そのような中、1つの明確なメッセージが浮き彫りになってきている。そのメッセージとは、データを洗練された方法で収集、解釈できるかどうかが競争上の優位性を左右することになるというものだ。データなくしてデジタル変革はあり得ない。そして、デジタル変革を成し遂げられない場合、ほとんどの企業は淘汰されるしかないだろう。
筆者はデジタル変革やアナリティクスの真髄に触れるため、The Estee Lauder CompaniesのCAOであるSol Rashidi氏に話を聞くことにした。同氏は経験豊富な企業幹部であり、Merckやソニー・ミュージックエンタテインメント、Royal Caribbean Internationalでデータ関連の幹部職を務めた経験を有している。
同氏と筆者の対話すべては、世界をリードする人々にインタビューするCXOTalkシリーズの710回目として、動画を視聴する、あるいはテキスト全文を読むことができる。
以下は、同氏との話を抜粋したものだ。
——CAOの役割とはどのようなものでしょうか?
(その役割は)収集や統合、ファーストパーティー/セカンドパーティー/サードパーティーのデータエコシステム、情報の収集だけでなくその連携、データの品質、データの精度、私が守りの戦略と呼ぶものにまつわることです。これらは、洞察やアナリティクスを支えるバックエンドのエコシステムすべてに関する物事が対象となります。
一方、攻めの戦略とはアナリティクスであり、データから導き出されます。そして洞察はアナリティクスから生み出されます。
われわれはデータを収集するためにデータを収集しているわけではありません。何かに使うために収集しているのです。そしてアナリティクスや洞察を生み出すのです。