IBMは米国時間10月12日、企業が気候変動の影響を管理し、自社が環境に与える影響を評価できるよう支援する新たなツールを発表した。組織が気候リスクを予想して対応したり、持続可能性(サステナビリティー)の目標を達成したりするために利用できるサービスだ。
「Environmental Intelligence Suite」は天気、気候、業務のデータと環境パフォーマンス管理プラットフォームを単一のソリューションに統合したものだ。人工知能(AI)、気象データ、気候リスク分析、カーボンアカウンティングなどの機能がまとめられている。組織は複雑なデータを収集、整理するリソースを節約して、洞察を得るための分析や、運用を改善するための対策を取ることに一層リソースを割けるようになる。
IBM AI ApplicationsのゼネラルマネージャーKareem Yusuf氏は、企業は異常気象による混乱が業務に及ぼす影響に対処するだけでなく、自社の業務が地球にどう影響するかということに説明を持つよう、ますます株主や規制当局から求められていると指摘する。
Yusuf氏は、「ビジネスと環境の未来は深く結びついている」とし、「IBMのAIとハイブリッドクラウドの力を結びつけ、企業に環境インテリジェンスを提供する。環境に関するパフォーマンスとレポートを改善し、より効率的な事業運営を実現して、リソースの消費を削減し、気候変動を前にレジリエンスの計画を立てる上で役立つものだ」と述べている。
IBMは、Environmental Intelligence Suiteが、企業の資産に及ぶ気候関連の損害や、サプライチェーンの混乱などに対処することに期待している。Environmental Intelligence Suiteは、カーボンアカウンティングや二酸化炭素の削減といったプロセスの運用などを自動化する上で有用だ。こうした業務は、「面倒で複雑なことが多い」上に「労働集約型の手作業や、気候とデータサイエンスに関するスキル、演算能力」が必要になるとIBMは述べている。
Environmental Intelligence Suiteは、IBMが多くの企業に長年提供してきたサービスを拡張したサービスのようだ。
Environmental Intelligence Suiteは、厳しい気象状態、山火事、洪水、大気汚染などの混乱を来すような環境条件の監視と警告、気候リスクのアナリティクスを用いた気候変動のビジネスへの影響の予測、業務が混乱する可能性に関する洞察の獲得、環境に関するイニシアチブに関する測定とレポートなどの機能を提供し、組織を支援するSaaSソリューションだ。このスイートは、「APIやダッシュボード、マップ、アラートを通じて環境に関するインサイトを提供し、業務上の差し迫った問題と、より長期的な計画や戦略の両方に企業が取り組む上で有用だ」とIBMは説明している。
「例えば、小売業者が厳しい天候に関連した出荷や在庫の混乱に備えたり、将来の倉庫用地への環境リスクを考慮したりする。またエネルギー企業や公益事業会社が、送電線の周囲の植物を刈り込むべき場所や、気候変動により山火事のリスクが近いうちに高まる恐れがある重要な資産を把握する。そのような場面で役立つ可能性がある。あるいは、スーパーマーケットは冷蔵システムがどれほど全体的な温室効果ガス排出の要因になっているかを明確に把握したり、改善する場所を優先づける際にも有用となるかもしれない」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。