SAPジャパンは10月27日、Business Process Intelligence(BPI)製品の戦略説明会を報道機関向けにオンライン開催した。同社は2021年1月下旬にグローバルでSignavioの買収を発表しており、本格的な事業の展開が開始されるタイミングでの発表と位置付けられる。なお、体制強化の一環として、8月末には同社 代表取締役社長の鈴木洋史氏がシグナビオ・ジャパンの代表取締役社長を兼任、併せて同社 プラットフォーム&テクノロジー事業部 事業部長の岩渕聖氏もシグナビオ・ジャパンの営業統括を兼任することが発表されている。
まず概要を説明した鈴木洋史氏は、SAPについて「従業員がより付加価値の高い業務へと集中できる企業の在り方である“Intelligent Enterprise”へ全ての企業が変革できるよう支援している」と語る。また7月に開催された「SAP SAPPHIRE NOW 2021」で発表されたビジョンも紹介した。
SAPジャパン 代表取締役社長の鈴木洋史氏
「デジタル変革(DX)を経て“Intelligent Enterprise”へと深化した企業同士をつなぐビジネスネットワークをSAPが支援して拡充することで、各企業が地球環境への対応の強化をしながらビジネスの成長も実現する持続可能な企業となることを支援し、その結果より良い世界の実現に貢献していくことを目指す」(鈴木氏)
その上で、1月に発表された「RISE with SAP」やBPIなどのクラウドソリューションが「お客さまの成功を実現するための最重要のオファリングとなる」(同氏)と位置付けた。
SAPのBPIソリューションの全体像
鈴木氏はBPIについて「企業のビジネスプロセスデータを用いて分析・評価する。企業のDX実現を支援するための極めて重要なSAPの戦略であり、ソリューションの1つ」と説明。Signavioの買収を「DXを通じて企業変革をしなくてはいけないことは分かっているものの、どう行えばいいのか、何から手をつければいいのか分からないという課題を持つ顧客に対して、BPIを活用してより具体的な支援をすることが可能になった」と評価し、「顧客をインテリジェントな企業へと導く『コンシェルジュサービス』として登場したRISE with SAPにおいても、顧客のビジネスプロセスを再設計するという位置付けでBPIを提供している」と紹介した。
さらに、BPIの活用でどのような効果を得ることができるのか、という問いに対しては「その答えはシステムを流れる業務データの中にある。その足跡をたどることで、生産性を上げるためのボトルネックになっている工程がどこにあるのかといった業務プロセスの改善余地を読み解くこともできる。BPIによって業務の流れをスピーディーに把握し、業務の流れの滞りや偏りを見て自動化したりワークフローを変更して持続可能な企業活動を保ち続けることができるようになる」(同氏)とした。
SAPジャパン プラットフォーム&テクノロジー事業部 事業部長の岩渕聖氏(左)とソリューション統括本部 ビジネス開発部 ビジネスデベロップメント シニアスペシャリストの森中美弥氏
SignavioをSAPの製品として扱うようになったことで、同社の多数のパートナーが「SignavioというBPIの核となるソリューションをお客さまのプロジェクトに提案、活用いただけるようになり、「これまでと比較して格段に多くのお客さまにSignavioの価値をお伝えできるようになる」(同氏)とした。
続いて、岩渕氏がBPIのコンセプトとロードマップについて説明した。BPIの中核機能となる「プロセス分析」「プロセス管理」「プロセス改善」を、同社が独自に開発している「SAP Process Insights」と「BPI: Process Improvement」をSignavioと組み合わせて実現していき、最終的にはこの3製品が統合されていくという。
BPI製品のロードマップ
最後に、同社のBPIの主要ソリューションについて概要を説明した同社 ソリューション統括本部 ビジネス開発部 ビジネスデベロップメント シニアスペシャリストの森中美弥氏は、SAP Process InsightsとBPI: Process Improvement、Signavioはカバーする領域が異なり、組み合わせることで網羅的な機能を提供できるとした。
BPI製品それぞれのカバー領域。Signavioは元々スイート製品だったということで広範な機能領域をカバーする