ローコード開発やノーコード開発は、誰にとっても何らかのメリットをもたらす。技術を持たないユーザーも、経験豊富な開発者も、両方が恩恵を受けられる。しかしローコード化の動きは、もともと期待されていたものよりもゆっくりとしたものになるかもしれない。GeneXusの最高マーケティング責任者を務めるGabriel Simonet氏は、「事業部門がIT専門家の助けを必要とせずに解決できるアプリケーションは、一般的かつ繰り返し起きる問題であり、こうしたものはすでに十分にモデル化され、解決されている場合が多い」と話す。「しかし、うまく解決されていない問題や、モデル化されていない問題にはITの専門家が必要になる」
これは、ローコード/ノーコード開発が熱狂的に広まっていないという意味ではない。実際、これらは流行になっている。最近の米TechRepublicの調査では、半数近く(47%)の企業がローコード/ノーコード開発を組織内で利用していた。また、現在これらの開発手法を使用していない35%の回答者のうち5人に1人(20%)は、1年以内にこれらの技術を導入する予定だと述べている。
SASのクラウド、APIおよびデベロッパーエクスペリエンス担当製品マネージャーであるSnigdha Kotta氏は、今日のビジネスユーザーは、「充実したUIフレームワークと、ライブラリーと、サービスとして提供されている多種多様なAPIを組み合わせて、多様なアプリケーションを構築することができる」と述べている。「これらのリソースはまだバラバラの状態で複雑であるため、少なくともある程度はIT部門のサポートを必要とする可能性が高いが、状況は急速に変わっている」

1つ確かなことは、今後は企業のあらゆる場所に、さまざまな能力を持った開発者が増えるということだ。「ローコード開発やノーコード開発のアプローチは、シチズンデベロッパーが分析や意思決定のためのアプリ開発を行うという可能性を開く」とKotta氏は言う。「以前は4、5人しかいなかったアプリ開発者が、今では40、50人になっているかもしれない。またこれらのアプローチは、開発やイテレーションも加速させる」
Zendeskのエンタープライズデータおよびアナリティクス担当バイスプレジデントChris Stephens氏は、その結果、「ITに関する従来の考え方」を問い直す時期が来ていると述べている。「ビジネス価値の創造において技術者が果たす役割は、10年前とは大きく違ってきている。クラウドや、データや、アプリケーションプラットフォームが抽象化されて、多くの人が思っているテクノロジーとは違うものになるにつれて、技術者の役割も再定義された。今日では、優れたテクノロジー担当役員は貴重だ。これは彼らがコンピューターを止めずに動かし続けられるからではなく、事業部門の責任者が全体の複雑さを把握し、依存関係を理解し、ベストプラクティスを実践する手助けができるからだ」