ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを提供するTableauは11月9日、グローバルイベント「Tableau Conference 2021」の発表内容について報道関係者向けのオンライン説明会を開催した。
Tableauで最高技術責任者(CTO)を務めるAndrew Beers氏は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックから回復しつつある中、世界がデジタルファーストの考え方に変化しつつあると指摘。業務の変革やデジタル化によって大量のデータに基づく意思決定を可能にする環境が整ってきた現在、データを扱うためスキルは一部の専門家だけではなく、あらゆる人々が身につけるべきものになりつつあるという。
Tableau CTOのAndrew Beers氏
そこでTableauは、データ学習を支援するための取り組みを発表した。具体的には、今後5年間で1000万人のデータ学習を支援し、データ教育に関するこれまでの取り組みを2倍に拡大する。また、世界的な重要課題との認識が高まりつつあるジェンダー平等にも、女性がデータスキルを学ぶのを支援する形で取り組んでいくことも表明した。
今後5年間で1000万人のデータピープル養成を表明
製品機能については、ビジネスチャットツール「Slack」との連携強化が注目される。Tableauは2019年に、Slackは2021年に、それぞれSalesforce.comに買収されていることから、両ツールの連携は自然な流れと言えるだろう。
具体的には、Slack内のアプリケーションとしてTableauが表示されるようになり、Tableauの通知やメッセージをSlackで受け取れるようになるなど、企業内のコミュニケーションツールとしてSlackを活用している場合に大きなメリットを得られるだろう。同様に、Salesforce.comの人工知能(AI)機能である「Einstein」との連携もさらに深化しており、「Business Science 2.0」ではTableauからのEinsteinエンジンを利用がこれまで以上に容易になっている。
Tableau 日本 カントリーマネージャーの佐藤豊氏は、同社が実施した調査の結果を紹介。パンデミックの影響下で「ビジネスディスカッションの質が低下した」と回答した経営幹部が日本は30%に達し、調査対象となった9カ国の中でも唯一ネガティブな回答を示したという。一方で、データ活用を推進している日本企業の経営幹部は、会話の質が向上するというポジティブな認識を示す割合が高かったという。
これを踏まえて、同氏は「優れた意思決定は優れた会話から生まれる。データをより頻繁に、組織全体で使用している企業は、より良い、質の高い会話をしている」とし、日本企業の中でデータリテラシーがまだ低い状況にあることが課題だと指摘。新たに日本版が提供開始されるリソースハブ「Tableau Exchange」や事前構築済みダッシュボード「Accelerator」によってデータ分析をすぐに開始できるように支援していくとした。
Tableau 日本 カントリーマネージャーの佐藤豊氏