コンカーは12月7日、日本IBMとデロイト トーマツ リスクサービスとの戦略的協業を発表した。経費精算の不正検知精度を向上させた“承認レス”の実現と、経費精算プロセスの全自動化を目指す。
同社のクラウドに接続したデジタル決済による経費精算を、日本IBMの「経費精算不正検知ソリューション」やデロイト トーマツの「Risk Analytics on Cloud」などで不正検知し、社内ガバナンスの強化や経理担当者の業務負担軽減を可能にする。
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏
コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏は「経費精算はあらゆるビジネスパーソンにとって最も付加価値のない仕事。1%未満の悪意のある社員のためにルールを厳格化し、生産性が低下している。不正行為という出来心が起きない仕組みをデジタルで構築する」と価値を語った。
今回発表されたソリューションを自社導入するには、日本IBMもしくはデロイト トーマツとの個別契約が必要。導入時は両社の技術者がシステム構築に参加する。利用価格は個別見積もりとなるが、両社とも、機能を制限すれば初期費用は数百万円程度で済むという。
不正を目視で見つけるのは難しい
コンカーと日本CFO協会は共同で2月26日~3月12日に同協会会員である日本企業の財務幹部を対象に、経費管理と不正リスクに関して調査した。
同調査結果によれば、「各担当部署における承認者の内容確認が不十分」と感じる割合は43%、「経理担当者の内容確認は負担」だと認識する割合は79%、「経理担当者として内容確認が不十分」だと感じる割合は22%という結果だった。承認者の確認工程は形骸化し、現場の経理担当者も負担が大きいことが見てとれる(有効回答数175)。
他方で経費精算工程の危険性を問うと、「リスクを感じる」割合は73%におよび、「実際に不正を発見」した割合は67%。この結果は企業規模を問わない。
費目別にリスクを感じる割合と実際に不正を発見した割合をみると、接待交際費で37%(不正発見率は25%)、物品購入費は25%(同19%)と不正発見率は低いものの、出張費は26%(同33%)、近隣交通費は9%(同16%)、会議費は同2%(同5%)と不正を発見する割合が上回る。
不正金額は54%が1万円未満と少額ながらも、5万円未満は22%、5万円以上は24%と一部では高額な不正も発生していることが分かった(有効回答数118)。
不正を見逃した経験を問うと9%が「経験がある」と回答(有効回答数175)。見逃した理由としては「金額が少額で影響が少ない(40%)」「不正の判断に迷った(33%)」「差し戻し連絡が手間(13%)」「差し戻ししにくい相手だった(7%)」などが並ぶ(有効回答数15)。今回の調査では90%の回答者が「不正を目視チェックだけで見つけるのは難しい」と回答した。
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