横河電機は、同社の総合データ分析基盤にSoftware as a Service(SaaS)型データウェアハウス(DWH)「Snowflake」を採用した。サービスを提供するSnowflakeが12月8日に発表した。
横河電機は、計測・制御・情報の技術を軸に、80カ国230拠点で製品/サービスを展開するグローバル企業。同社では2018年から社内の生産性向上と顧客への提供価値向上を目指してデジタル変革(DX)に着手し、顧客や従業員、パートナーの視点でのグローバルなプロセスシステムの再編に取り組んでいる。
同社では、データに基づいた企業経営の実現に向けてグローバルでセルフサービス型のビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Tableau」を導入しており、ビジネスユーザーはIT部門を介さずに売り上げや出荷、生産といったデータを複合的に組み合わせて業務に活用している。IT部門では、セルフサービス型BIと人工知能(AI)を組み合わせ、「何が起こったか」「今後何が起こるのか」というフェーズを経て、「現在は何をすべきか」を分析してビジネスユーザーに提供しているという。
大量のデータを分析する上で処理時間が課題になっていた。データレイク基盤をAmazon Web Services(AWS)上に構築していた同社は、2020年3月にAWSのシンガポール拠点でSnowflakeの概念実証(PoC)を開始、分析処理の速さから採用を即決したという。2021年初めには日本でも導入し、実データでの検証を経て4月からはTableauでの本格利用や予測AI分析にも利用している。
データベースのチューニングやデータベースに精通した人材が不要だったことも評価した。パフォーマンスやスピードを確保するためにデータの分析対象や分析項目を制限していたが、その問題も解消した。また、大量データの分析加工処理が迅速化したことで、精度の高いAI予測結果を素早くビジネス側に提供できるようになった。販売先の在庫、購買製品や顧客情報に関する分析の予測精度が向上し、ビジネス側からも評価を受けているという。
データエンジニアリングが容易かつ高速になったことを生かし、横河電機では今後、セルフサービス型のAI環境を拡大していく考えだという。それによってビジネスユーザーが主体となって予測型AIを活用し、何をすべきかを把握、行動してビジネスに効果を出せるようになるという。