調査会社であるExperianは、年次レポート「Data Breach Industry Forecast」の中で、2022年にサイバー犯罪者に狙われる可能性が高い5つの分野について説明している。
最近では、世界的なコロナ禍の影響もあって、世界中の人たちがこれまでになくオンライン上でデジタル的につながるようになっており、組織や、インフラや、個人の生活がサイバー犯罪の標的になるリスクが高まっている。今回の調査結果は、その現在の状況を反映したものだ。レポートでは、「大規模な組織は、セキュリティに多額の費用をかけているにも関わらず依然として脆弱なままであり、サイバー犯罪者は弱い技術を攻撃の標的にすることができる」と述べている。
Experianは、2022年に起きると予想されるデータ侵害に関わるサイバー攻撃などの脅威について5つのトレンドを紹介している。
1.デジタル資産
社会が暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)などのデジタル資産を金融の分野や技術の分野の重要な要素として受け入れるようになると、攻撃対象としても重視されるようになっていく。
最近も、大手暗号資産取引所であるBitMartが、いわゆる「ホットウォレット」から1億5000万ドル(約170億円)相当の暗号資産を盗まれたと発表したばかりだ。ブロックチェーンのセキュリティとデータアナリティクスを専門とする企業であるPeckShieldは、このセキュリティ侵害が明らかになった際、BitMartの損失は2億ドルに近いと見積もっている。同社によれば、そのうち1億ドル相当がEthereumのもので、9600万ドル相当がBinance Smart Chainのものだという。
2.自然災害
自然災害が起きると、多くの人がさまざまな組織を支援しようとオンラインでの寄付を行うが、その結果、寄付する側と被災者の両方が、慈善団体を装ったグループによるフィッシング詐欺に遭いやすくなっている。複雑なことに、Experianによれば、サプライチェーンが世界的に不安定になっていることで、緊急物資の調達が困難になっており、そのこともサイバー犯罪者がつけいる別の隙になっているという。