Raspberry Pi財団は、すべてのユーザーをより適切にサポートするため、「Debian」をベースとする2種類の「Raspberry Pi OS」バージョンを提供することを決定した。
Raspberry Pi OSの「Legacy」リリースは、2019年にリリースされた「Debian Buster」がベースとなる。これは、11月に現行のRaspberry Pi OSのベースとなった「Debian Bullseye」の前のバージョンだ。
Raspberry Piの最高製品責任者(CPO)のGordon Hollingworth氏によると、Debianのあるブランチから次のブランチへの移行はエンドユーザーに「重大」な問題をもたらす可能性があるため、同財団は2種類のRaspberry Pi OSバージョン(現行とLegacy)を提供することを決定したという。
Hollingworth氏はブログ投稿で、「この9年間、Raspberry PiはRaspberry Pi OS(旧称「Raspbian」)の単一のリリースしかサポートしてこなかった。このことは、新しいアップストリームブランチに移行するとき(例えば、過去の「Jessie」から「Stretch」、StretchからBusterへの移行や、先頃実施されたBusterからBullseyeへの移行)に重大な問題を引き起こす可能性がある」と述べている。
「もちろん、これが特定のユーザーにとって、必ずしも適切な判断ではないことは理解している。例えば、オンラインの指示やチュートリアルに従って作業を進めたい教育分野のユーザーもいれば、特定のライブラリーのバージョンを使用するソフトウェアを開発してきた産業界のユーザーもいる。安定した不変のOSを重視するユーザーもいるだろう」(同氏)
その結果、「安定した不変のOS」を必要とする一部ユーザーは、OSの一部をロールバックして廃止された機能を復元するオプションなどを求めている。
Raspberry Pi OSのDebian Buster版は、「Debian oldstable release」と呼ばれることになる。Busterをベースとしていることに加えて、このバージョンでは、動画のデコードにハードウェアアクセラレーションを使用する「Chromium」ブラウザーが削除され、ソフトウェアアクセラレーションを使用するアップストリームブラウザーに置き換えられている。
「さまざまなコンポーネントの更新が継続される間は、Raspberry Pi OS(Legacy)のサポートも継続される。Debian Busterは2024年6月までサポートされる。『Linux 5.10』カーネルは2026年12月までだ。この期間中に『Debian Bookworm』が安定版に移行した場合、Raspberry Pi OS(Legacy)はBullseyeに切り替わる」(Hollingworth氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。