今はデータセンター技術のサプライヤーにとって有利な時期だが、テクノロジーの津波が市場に押し寄せていることで、エンドユーザー顧客はその波に翻弄されている。また、データセンター業界が抱えている問題を人工知能(AI)が解消してくれるかというと、ことはそう簡単ではないようだ。
Uptime Instituteは、データセンター業界の動向に関する調査レポートを発表している。この調査では、データセンター技術のサプライヤーやデータセンター運用組織が、データセンター市場の規模は拡大し続けていると考えていることが明らかになった。ここで言うデータセンター技術のサプライヤーとは、データセンターを所有する企業やデータセンター事業者に対して、設計サービスやコンサルティングサービス、データセンター向け製品などを供給する企業のことだ。回答者の約80%は、3年連続で、顧客の支出は平均以上の水準にあると述べていた。また回答者の半数は、今後3~5年間は資本支出の大幅な増加が続くと予想していた。さらに、回答者の約3人に1人は成長率が一定程度減速すると予想していた一方で、横ばいか縮小に転じると予想したのは6人に1人にすぎなかった。
これらは基本的に業界にとってよいニュースだといえるだろうが、増えた支出は一体どこに向かうのだろうか。データセンターのキャパシティ需要を予測することは今も困難な状況にあり、調査の回答者は、4年連続で、顧客であるデータセンター運用組織が直面している最大の問題として需要予測を挙げている。また2021年の調査では、運用組織が抱える課題の2番目に、異なるデータセンター環境を組み合わせて管理すること(オンプレミス、コロケーション:リテールあるいはホールセール、クラウドの組み合わせ)が浮上した。
データセンター運用組織の半数近く(47%)は、条件を満たす人材を見つけるのが困難だと述べているが、データセンター技術のサプライヤーも、38%が今後は人材不足が業界の成長の妨げになると回答していた。データセンター業界には、今後5年間でAIの利用が普及すると予想されているが、必ずしもAIが人材不足の問題を和らげてくれるわけでないとみられている。問題解決のアプローチの1つは、雇用する人材の多様性を高めることであり、サプライヤーのほとんど(88%)は、今後3~5年で、より多様なスタッフがデータセンター業界に雇用されるようになると予想している。