GoogleとFacebookは、フランスのユーザーがクッキーの追跡技術を容易に拒否できないようにしているとして、高額な制裁金を科せられるようだ。Politicoが現地時間1月5日に報じた。
Politicoが入手した文書から、フランスのデータ保護当局「情報処理と自由に関する国家委員会」(CNIL)が、欧州連合(EU)のデータプライバシー規制に違反したとして、Googleに1億5000万ユーロ(約200億円)、Facebookに6000万ユーロ(約80億円)の制裁金を科す計画であることが分かった。
CNILは文書で、両社がこの決定から3カ月以内に問題を解決しない場合、さらに1日当たり10万ユーロ(約1300万円)を科すとしている。Politicoによると、この決定はgoogle.frとyoutube.frのほか、Facebookがフランスで展開しているプラットフォームに適用される。
Facebookの親会社Metaの広報担当者は米ZDNetに対し、この決定について調査中であり、「引き続き関係当局との協力に尽力する」と述べた。
「当社のクッキー同意管理機能は、ユーザーが自身のデータ管理を向上できるようにしている。これには、FacebookとInstagramの新しい設定メニューも含まれ、ユーザーはいつでもページを再訪し、設定内容を変更できる。われわれは、これらの管理機能を絶えず開発、改善している」(広報担当者)
Googleはコメントの依頼に応じなかった。同社は2020年12月、フランスのデータ保護法第82条に違反し、ユーザーの同意なくクッキーを保存したとして、CNILから1億ユーロ(約130億円)の制裁金を科されている。
その際、CNILが2020年3月にgoogle.frを調査したところ、ユーザーがウェブサイトにアクセスすると、クッキーが「ユーザーからのアクションなしに、自動的にコンピューターに保存されている」ことが分かったとしていた。これらのクッキーの一部は広告を目的として使用されており、Googleはこの行為によって「多額の利益」を得ているとCNILは指摘した。
また、ユーザーがgoogle.frを訪問した際にページ下部に表示されるバナーには、すでに配置したクッキーに関する情報を一切提供していなかった。さらにCNILは、ユーザーがGoogle検索でパーソナライズド広告を無効にしても、広告クッキーの1つはユーザーのコンピューターに保存されたまま、情報を取得し続けていることが分かったとしている。
Googleは2020年9月、ユーザーがgoogle.frを訪問した際に広告クッキーを自動的に保存することを停止した。しかし、新しいバナーは、「フランスに居住するユーザーがクッキーの使用目的を理解できるようにしておらず、クッキーを拒否できることも知らせていない」として、CNILからさらなる批判を受けた。そのためCNILは、この違反についても1日当たり10万ユーロの制裁金を科すと通達した。
Facebookは2021年9月、欧州の一般データ保護規則(GDPR)に準拠するために、欧州地域における自社のクッキー同意管理機能をアップデートしている。
欧州の規制当局は、さまざまな反競争的行為の疑いで、Googleに80億ユーロ以上の制裁金を科している。同社は、そのうちの1つの制裁金である24億2000万ユーロ(約3000億円)を不服として申し立てていたが、2021年に退けられた。
Meta傘下のWhatsAppは、親会社とのデータ共有方法が透明性に欠けるなどとして、9月に2億2500万ユーロ(約295億円)の制裁金を科せられた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。