NEC、秘密計算ソリューション提供--データを暗号化したまま計算可能

NO BUDGET

2022-01-14 16:16

 NECは、データを暗号化したまま計算処理ができる秘密計算技術において、ユーザーの用途に応じて最適な方式を提案する、秘密計算ソリューションの提供を開始した。

 秘密計算は、安全な計算環境によってデータを暗号化したまま計算処理ができる技術。機密情報の安全な活用に向けた技術として期待されており、Everest Groupの調査によると、秘密計算のグローバル市場規模は2024年に160〜180億ドル、2026年に520〜540億ドルと推定されている。

 今回提供する秘密計算ソリューションは、秘密分散方式(MPC方式)とハードウェア方式(TEE方式)という2つの計算方式に対応する。MPC方式はデータを乱数で符号化し、3つのサーバーに分散して計算する。TEE方式はインテルSGXを活用したハードウェアのセキュリティ技術を使用し、サーバー上の安全なメモリー空間を利用して計算する。

 同ソリューションにおいて、MPC方式では独自の開発支援ツールにより、一般的なシステムエンジニアでもプログラミングが難しいとされていた秘密計算アプリケーションの開発を容易に行うことができる。NECの独自技術により、一部の処理において、実証実験を通じて約8000人分のゲノム情報を約1秒で解析するなど処理速度を高速化し、迅速なデータ分析が可能となる。

 TEE方式では、IntelやFortanixと連携し、プログラミング言語「Python」を用いて、容易に記述することを可能にした。一般には難解とされていた秘密計算プログラミングの記述を容易に行うことができ、Pythonで開発された既存アプリケーションの流用が可能。データ分析時にユーザーが運用している人工知能(AI)モデルを修正することなく、同ソリューションにそのまま組み込んで使用することもできる。

 同ソリューションでは、ユーザーが活用したいアプリケーションに求められる安全性や処理速度に応じて、最適な方式を提案する。例えば、金融や医療・ヘルスケア領域などにおいて複数の企業がデータを持ち寄り、より安全性の高い分析を行いたい場合はMPC方式を、パブリッククラウド上における既存の分析アプリケーションや学習モデルの利用など、分析者がさまざまな分析手法を試行錯誤したいシーンではTEE方式を使用することを提案する。

 同ソリューションについてNECは、購買履歴や人流データなどを基にした企業のマーケティング活動に活用できるほか、金融、医療・ヘルスケア、製造業、官公庁といった、膨大なパーソナルデータや秘密情報を扱い、組織外へのデータの流通が容易ではない分野においても、柔軟に活用できるとしている。

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