スタディストは1月17日、コンサルティング事業を同日から開始した。企業向けクラウドサービスの開発・提供を主な事業として展開してきた同社だが、国内の人口減少や労働集約型産業の限界を踏まえ、ビジネスモデル変革の一環として新規事業に着手する。
同社のクラウドベースのマニュアル作成共有サービス「Teachme Biz」を中核に、導入時の検討や検証、調整の負担軽減を目指す。代表取締役 鈴木悟史氏はコンサルティング事業に取り組む理由として、「工程を含めた業務の見直しや人材の多能工化、外国人人材の即戦力化に取り組まなければならない」と説明しつつ、システム導入前後に派生する課題へ対応する。
導入前後の課題をどう解決するのか
現場業務にマニュアルは欠かせないアイテムの一つだ。通常であれば社内で担当者が独自のマニュアルを作成するものの、外国人人材の雇用、それに伴う知見の相違を踏まえると、文字ベースではなく直感的な画像ベースのマニュアルが好ましい。
1月17日時点で67万8372点のマニュアルを出力するTeachme Bizは、飲食チェーンやコールセンター、ホテルチェーンなど多様な業種で用いられているが、導入前後に課題が残ると説明する。
導入前であれば、課題の不明確化や導入効果の可視化、改善する工程の策定に議論を要し、導入後もマニュアル作成担当者の負担や作成範囲の制定に関する支援、担当者異動などに伴う属人化の排除など枚挙に暇がない。
取締役副社長 兼 コンサルティング部長 庄司啓太郎氏は「顧客が抱える導入前後の課題を解決することがコンサルティング事業を開始する理由」だと説明した。
Teachme Bizの機能強化と平行しつつ、導入支援や助言、顧客支援メニューを用意する。当然ながら顧客企業の状況に即した業務アセスメントやマニュアル作成の代行、マニュアルを作成するための訓練コースの用意などを提供する。担当者の人事異動に対応するための運用代行も用意する。
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さらに「組織生産性サーベイ」(3月から提供開始予定)、「オペレーションカメラ分析」(2月から提供開始予定)、「ゼロイチパッケージ」(提供中)、「ゼロイチオンライン」(4月から提供開始予定)といったパッケージを用意。メニュー類は他社との連携を踏まえた強化も予定している。
ゼロイチオンラインは、導入を計画するときの業務アセスメントから導入後の運用定着までマニュアル活用の基盤を一気に立ち上げることを目的に個別企業に対するコンサルティングであるゼロイチパッケージのエッセンスを学んで自社で実践するためのオンライン型コンサルティング。
スタディストは2020年7月から40社ほどを対象にコンサルティングサービスを提供しており、Teachme Biz正式導入率は85.2%に達したという。この成功体験もコンサルティング部門設立の背景にあることは疑う余地もないだろう。