もしあなたの勤務先の営業部門やその他事業部門の幹部が、人工知能(AI)に関する話題を最近取り上げていないのであれば、その理由を尋ね、その世界に飛び込ませる時が来ている。高度な変革テクノロジーへの移行については、もう弁解の余地などない。AIなどのソリューションはいまや簡単に入手できるほか、今日のデジタル経済で優位な地位を確保するにあたって企業が多大な投資をする必要もなくなった。さらに、変革的なデジタルテクノロジーがなければ、事業展開さえできなくなりつつある。もはや、こうしたテクノロジーが企業に向けて切り開く新たな領域に対し、意欲的な思いがあるかどうか、教育し伝道していくつもりがあるかどうかという問題でしかなくなってきているのだ。
その世界に導いてくれるのは自動化だ。Dell Technologiesの製品およびオペレーション担当グローバル最高技術責任者(CTO)であるJohn Roese氏は、変革的なデジタルテクノロジーはいまや必要不可欠なものだが、2020年代に企業の競争力を維持していくだけの人材がとにかく不足していると語る。「規模の問題だ」と、Roese氏は最近発行されたMIT Technology Reviewのインタビューで説明している。「自律的なオペレーションができなければ、人間の労力だけでよりデジタルな企業になる機会の増加に対応することなど不可能だ」
選択肢は明確だとRoese氏は付け加える。より高度なIT機能への需要に応えるには、「指数関数的にさらに多くの人材を雇うか、違う方法でやるかのどちらかだ。違う方法というのは、より創造的かつ効果的に、人と機械で仕事を分担することだ」とRoese氏。ありがたいことに、「能力的にデジタル化が進んでいる必要はなく、巨大なデータサイエンスチームが必要なわけでもない。自社でソフトウェアを開発したり、インフラを構築したりする必要もないのだ。たいていの場合、高度に進化し、すぐに使えるような結果を実際に出しているさまざまな供給元が提供するものを利用すればいい」と、Roese氏は続けて語る。
これは、ITチームの規模にもあてはまると、Roese氏は続ける。「インフラの観点からは、小規模なIT部門を持ちつつも自律的なオペレーションを取り入れている企業であれば、より大規模で拡張性の高いインフラを提供できる」とRoese氏。さらに今日のITチームは「より多くの機能をエッジへと拡張できるほか、マルチクラウド戦略を進めることもできる。また、こうしたことを、おそらく2年前の大規模な専門組織よりも迅速に、そしてより優れた形で実現できる」と述べている。
Roese氏は、この2年間で「よりスマートなシステムや、より自律性の高いもの、そしてさまざまな消費モデルへのシフトが進んでいる」と語る。これが、テクノロジーの民主化への道筋を切り開いているのである。「数年前にデジタルトランスフォーメーションをうまく実行するには、ほとんどの作業を自らこなす必要があったし、すぐに使えるような製品も存在しなかった。企業側も、社内に膨大な専門的知識が備わっていない企業に対し、簡単に使えるサービスを提供するような体制には必ずしもなっていなかった」