シスコシステムズは4月11日、クラウド管理型ネットワーク製品「Cisco Meraki」の最新ソリューションについて記者説明会を開き、「Cisco Meraki MT14 屋内用エアクオリティセンサー」「Cisco Meraki MT30 スマートオートメーションボタン」「Cisco Meraki MR57 Wi-Fi 6E アクセスポイント」などの新製品を披露した。
Meraki MT14 屋内用エアクオリティセンサー
Meraki MR57 Wi-Fi 6Eアクセスポイント
シスコシステムズでCisco Merakiジャパンのカントリーリードを務める山移雄悟氏はまず、これまでの事業を振り返った。2006年にアクセスポイント/無線LANをクラウドで管理する「クラウドWi-Fi」でビジネスをスタートし、2010年にはポートフォリオにスイッチング/ルーティング/セキュリティ/UTMなどを加えて「クラウドネットワーキング」に成長。そして、2012年にシスコに買収された後、2017年にIoT分野もカバーする「クラウドIT」へと拡大した。同氏は、2017年のポートフォリオ拡充によって「第2章」に突入したとの認識を示した。
Cisco Merakiのこれまで
また、63万人以上のユーザーが190以上の国・地域に及ぶ350万以上の拠点で、1000万台以上のMerakiの端末を使って、毎日1億1500万以上のユーザー端末のプラットフォームとして利用されているという実績データを明らかにし、Cisco Merakiのクラウドインフラストラクチャーは99.99%のサービス品質保証(SLA)で保護されているとアピールした。国内事業も堅調で、直近3年の年平均成長率(CAGR)は58%、出荷実績は累計50万台で3年間で600%の成長を遂げている。ユーザーは1万社超で3年前の4.2倍という。
また、山移氏は「カスタマーエクスペリエンスを価値提供の中心に据えている」とし、「単に導入していただくだけではなく、ユーザーがいかに適切に心地よくネットワークを使っていただけるか」という点を重視しているとした上で、現在同社が注力するユースケースとして「ハイブリッドワーク」と「スマートスペース」の2つを挙げた。それらを実現するための要素として「タッチポイント」と「テクノロジー」が必要だと指摘した。
タッチポイントとは、顧客との接点を意味する。「製品ポートフォリオ」あるいは「製品の適用範囲」を拡げることでタッチポイントをいかに増やせるかが1つの要素だという。そうしたタッチポイントを裏で支えるテクノロジーとして、ダッシュボードや人工知能/機械学習(AI/ML)、APIプラットフォーム、SD-WAN、Wi-Fi 6Eなどを挙げた。
Cisco Merakiが提供するエクスペリエンス
Cisco Merakiのポートフォリオは拡充を続けているものの、「ダッシュボードで全てを管理できるクラウド管理型のネットワーク製品という点は一貫している」(山移氏)という。毎週23億を超えるMerakiプラットフォームのデータポイントを処理し、インサイトや最適化、推奨、提案をしている。さらにその先には「ネットワークが自律的に最適化するオートメーション」があるといい、「これらがクラウドの力であり、クラウドだからこそお客さまに提供できる価値だ」と強調した。
Cisco Meraki テクニカルソリューションアーキテクトの脇中亮氏は、スマートスペースを実現するためのIoTポートフォリオの拡充について説明した。「カスタマイズ可能なコンピュータヴィジョン モデル(MV Sense API)」「Meraki MT14 エアクオリティセンサー/Meraki MT30 スマートオートメーションボタン」「Meraki MR57 Wi-Fi 6E アクセスポイント」の3点が紹介された。
同氏はまず、スマートスペースの実現例として「センサーを設置することでソーシャルディスタンスや設備の利用情報を把握できる」「資産追跡によって機器の稼働状況やツールの使用状況に関するインサイトを獲得できる」「ユーザーセグメンテーションにより、パーソナライズされたメッセージを発信できる」「環境モニタリングによって重要なインフラを保護し、コンプライアンスを順守できる」「消費電力のモニタリングによってサステナビリティー(持続可能性)や省エネを実現できる」といった点を挙げた。
Cisco Merakiによるスマートスペースの価値
これまでも、無線LANアクセスポイント(AP)の通信データを解析することで、APから見てユーザー(が所持している無線LAN端末)がどの方向、どのくらいの距離の場所にいるのかを推定できるようになっており、そうした位置情報とオフィス内のフロアマップを重ね合わせることでユーザーの分布や移動状況を把握可能だった。
さらに、防犯のために導入されたカメラのデータを活用し、AI/MLによる映像解析を組み合わせることで、挙動不審な人物を発見だけでなく、ユーザーの移動経路などを可視化することでオフィスの利便性や快適性の向上に役立てられるようになってきた。
こうした流れを踏まえ、Cisco Merakiでは主にデータセンター向けに「温湿度センサー」「温度プローブセンサー」「漏水検知センサー」「ドア開閉センサー」などの環境センサーを提供してきた。今回、新たにエアクオリティセンサーを加えることで、快適なオフィスづくりの分野にも踏み出すことになった形だ。
なお、「Cisco Meraki MV スマートカメラ」では、ヴィジュアルインテリジェンスプラットフォームを活用して独自にカスタマイズ可能なコンピュータヴィジョン(CV)モデルをノーコードで構築可能。Cogniacとのネーティブ統合によって、CVモデルのシームレスなビルド&デプロイが可能になっている。
Cogniacとの協業によりMVシリーズ スマートカメラでCVモデルの活用がより容易になった