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DXビジネス推進におけるIT部門の役割

第2回:IT部門がDX新組織の主役となっている理由

石橋正彦

2022-06-01 06:00

 今や多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、新しいビジネスを創造する動きも広まりつつある。本連載では、ビジネスにおけるテクノロジー活用の担い手として期待されるIT部門の現状と将来の展望について考察する。

 第1回の記事では、DX組織の人材の内訳からIT部門とDXの関わりについて、特にDX専門の新会社を設立したケースを「1.単独型」と「2.複数出資型」として解説した。今回の第2回では、引き続き「出島型」と称される「3.経営直轄型(出島型)」と「4.情報システム子会社にDXの組織を作った(出島型)」を分析し、「IT部門がDXの新組織で主役となっている」ケースの要因を深堀する。

図4.DX新組織の出身母体。新会社設立が「1.単独型」「2.複数出資型」と「3.経営直轄型(出島型)」「4.情報システム子会社(出島型)」の人材を比較した(出典:サイバー研究所、2022年5月)
図4.DX新組織の出身母体。新会社設立が「1.単独型」「2.複数出資型」と「3.経営直轄型(出島型)」「4.情報システム子会社(出島型)」の人材を比較した(出典:サイバー研究所、2022年5月)

 図4では、DXの新会社で構成された要員の出身母体を分析している。まず、第1回でピックアップした新会社の設立形態が「1.単独型」「2.複数出資型」では、ほとんど自社のIT部門がいない。事業会社からの出向者の役員と外部からの採用者が多くを占める。これは、経済産業省が発端となったDXを既存のIT部門などが引き受けていない(案件として引き取らない)場合が確認され、IT部門がDXに適用しない前兆であろう。

 一方の「3.経営直轄型(出島型)」「4.情報システム子会社(出島型)」では、人数は少ないが、自社のIT部門を確認できる。ただ、この2020~2022年までの動向を確認すると、DXは「ビジネスの話」となるところを「IT人材、IT人材育成」の話にDX担当者が持っていく傾向がある。

 これだけでは、DXの新組織1~4において悲観的で、あまりIT部門が活躍できていないようにも感じる。しかし、「3.経営直轄型(出島型)」「4.情報システム子会社(出島型)」の活動内容を見ると、DXのビジネスの話は少ないものの、IT部門の新卒~35歳ぐらいまでの組織や要員が確認できる。

図5.出島型で活躍するDXの新組織は?(出典:サイバー研究所、2022年5月)
図5.出島型で活躍するDXの新組織は?(出典:サイバー研究所、2022年5月)

 図5の「出島型で活躍するDXの新組織」では、赤枠の部分がいわゆる「出島」である。2020年以降に社内のDXの新組織を形成して、社内の新規ビジネスへの参入や、新規組織、要員育成を企画する場所である。「3.経営直轄型(出島型)」の出島は、本社カンパニー側で設立した、少人数の組織である。図では3人の構成だが、元IT部門の企画部などが確認できる。各カンパニーへ提言できるように、DXの資料は社内の特殊事情を入れず、どの業種にも通用するような内容である。

 IT部門であれば、これと同じような組織を、2005年当時に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得として、事務局が組織した「情報セキュリティ委員会」や「各種規定類」という形で経験したことがあるだろう。また、「DXの文書」に似た文書として、当時の「情報セキュリティポリシー」を記憶されているに違いない。

 一方、「4.情報システム子会社(出島型)」の中に「DXの新組織」を作った企業では、情報システム子会社側のITのナレッジが有効活用できている。具体的には、企業では「現実味のないクラウド化」「絵に描いた餅の体制図」を作らないナレッジだ。また、作っても誰もが不自然と感じる「IT経験者ならではの肌感覚」「失敗しそうなプロジェクト」を担当者が判断できる(予感が沸いて来る)。

 このように、「3.経営直轄型(出島型)」「4.情報システム子会社(出島型)」では、少なくとも、「できそうもない」「やったところで失敗する」という、自社の過去のプロジェクトの経験値より、「無理なDX化」にIT部門が気付く点で、IT部門の活躍が大きい。つまり、本記事の主題である「IT部門がDXの新組織で主役となっている」ケースであると言えよう。

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