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「1万人の高校生社長を育てる」--SEVEN山本代表の意気込み

田中克己

2022-07-14 07:00

 「1万人の高校生社長を育てる」。エンジェル投資家と若手起業家を結び、スタートアップの育成につなげることを目指す、SEVEN代表の山本敏行氏は、ユニコーン企業(時価総額10億ドル以上)を日本から次々に生み出していくために、「高校生社長1万人プロジェクト」をスタートさせた。

 SEVENは、コミュニケーションツールを手掛けるChatwork創業者の山本氏と、スタートアップの豊富な人脈を持つ戸村光氏が約2年前、共同で立ち上げた若手起業家とエンジェル投資家をつなぐコミュニティー。具体的な取り組みは、週次成功率7%のポテンシャルのあるスタートアップを発掘し、ベテラン経営者らが7人以下のチームを組んで成功へと導くというもの。見つけるためのピッチから投資、経営支援などは全てウェブ会議システム「Zoom」で完結させるため、投資家と起業家はどこからでも参加できる。

 ピッチは毎月7日と21日に開き、勝ち残ったスタートアップにSEVENが組織化した約100人の投資家を紹介する。投資家には、「今は忙しいが、いずれ新しいことに取り組みたいので、若い人たちとの関わりを持ちたい、学びたいという中小企業の経営者が多い」そうだ。上場会社などの社外取締役や監査役もいる。

シェアオフィス700カ所に起業家支援のSEVENアカデミーを開設へ

SEVEN代表の山本敏行氏
SEVEN代表の山本敏行氏

 スタートアップの投資先は7月初旬段階で累計37社になった。月に1~3社のペースで出資先を増やしてきたが、取り組みを加速させるため、4月には全国各地のシェアオフィスで地元の起業家を育てる「SEVENアカデミー」の開設に乗り出した。山本氏と戸村氏が作り上げた、起業に必要な経営戦略や資金調達、マーケティング戦略、グローバル展開など150超の教育コンテンツなどを使って、起業家を育成、支援していく。起業家同士が切磋琢磨したり、先輩の起業家がメンターになったりする。専門家も講師として派遣する。地元の投資家が地元の起業家を支援する場となったシェアオフィスは、地域の活性化にも貢献する。

 SEVEVは、同アカデミーを全国700カ所の地元企業の経営するシェアオフィスに開設することを目論む。年内は月に2~3カ所のペースを予定し、4月に静岡県三島市の地元建設会社が運営するシェアオフィスに開設したのを皮切りに、京都や富山、大阪・梅田などで立ち上げる予定。同アカデミーの開設費用は、加盟金77万円と月額7万7000円で、山本氏によれば、スタートアップ支援プログラムとしては安価なものだという。

 もう一つの策が、1万人の高校生社長を誕生させること。山本氏は「まず社長になることが大切」と説く。キャッシュフローや利益を生み出すにはどうすればいいかを日々考えることで経営を体験し、情報収集力も身につく。「社長ってどんなことをしているの?」「すごいね!」などと、周囲からいろいろ質問をされる。そんな経験を積みながら、ビジネスの分かる起業家へ成長させるために、米国シリコンバレーのカレッジ(単科大学)に留学させ、さらにユニバーシティー(総合大学)へ編入可能なプログラムも用意する。「グローバル展開する上で、社長が英語を使えないと、世界で戦えない」とし、SEVENは高校生社長に法人設立費用として25万円を提供する。

 山本氏によると、7月末には7人の高校生社長が誕生するという。第1号となる大阪府立北野高校3年生の伊藤拓真氏は、衛星データを活用した広域災害調査を手掛けるUNeXを設立し、2023年にはシリコンバレーに留学する予定だという。彼の存在を知った起業に関心のある高校生が彼のところに集まり始めている。そこで、起業したい高校生が放課後に情報交換など毎週集まる「放課後起業部」を作った。起業したいけど、何をしたらいいのか分からない高校生に、起業の情報を提供するもので、仲間も作れる。

 放課後起業部に所属する高校生らは毎週、Zoomを使ったミーティングで情報収集や情報交換に励む。地元のシェアオフィスを塾のように活用し、イベントに参加したり、ビジネスの相談をしたりする。同部には、法人化してシリコンバレーに留学することを目指す「ユニコーンコース」と、法人化はまだ先のことだが起業に興味がある「起業体験コース」「コミュニティーコース」の3つを用意する。部長には、高校1年生の川田咲奈氏が就いた。彼女は、東京や関西の進学校に東京大学や京都大学の学生を講師として派遣するビジネスを企画するLAPの最高経営責任者(CEO)である。

 43歳になる山本氏らが集団投資で起業家を支援するSEVENの仕組みと、アカデミーや放課後起業部によって高校生社長を育成する取り組みによって、ユニコーン企業は何社生まれるのか、長い目で見ていきたい。

田中 克己
IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任、2010年1月からフリーのITジャーナリスト。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書は「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)。

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