米国の労働者の4人に1人は、雇用主からオフィス勤務に復帰しろと指示されてもそれを拒否するつもりであり、多くの人はその結果解雇されても構わないと考えている。
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保険テック企業のReli Exchangeがリモートワーカー1000人を対象として実施した調査によれば、従業員の75%が、少なくとも就業時間の一部はオフィス勤務に戻るよう指示されていることが明らかになった。さらに、これに含まれる26%は、オフィス勤務を義務化する命令には従わないと答えた。
オフィス勤務への復帰指示に従わない人が最も多いのは35~44歳の回答者で、このことは、従業員がリモートワークやハイブリッドワークによって得られる柔軟な働き方に慣れてしまっていることを示している。
回答者が挙げたリモートワークの利点の中で最も多かったのは「健康面での安全性」と「ワークライフバランス」で、どちらも回答者の50%が選択していた。もしオフィス勤務に復帰しなければ解雇されるとしたらどうするかを尋ねる質問では、40%が起業、別の40%が新しい仕事を探すと回答していた。「同じ仕事を続けられるよう求める」と回答したのはわずか11%だった。
Reli Exchangeの親会社であるReliance Globalのオペレーション担当シニアバイスプレジデントGrant Barra氏は、オフィス勤務への復帰を義務化するかどうかで対立が続けば、企業と従業員の両方が「難しい判断を迫られる」としながらも、決定の正当性を証明する責任は企業側にあると述べた。
「企業は、なぜオフィスで人を働かせる必要があるのかを検討すべきであるだけでなく、オフィスに人を戻すことによってそれらの目的を達成できるかどうかについても考える必要がある。例えば、もしオフィスに人を戻す一番の理由がほかの従業員との連携であれば、それが実現できるような条件を用意しなければならない」とBarra氏は言う。
ハイブリッドワークは多くの労働者に支持されている。「オフィスで勤務する年間日数があらかじめ合意されていれば復帰する」と答えた人は21%、「オフィス勤務で得られる福利厚生が増えるのであればオフィスに復帰する」と答えたのは20%だった。
意外なことに、オフィスへの復帰の条件に昇進や昇給を挙げた回答者はわずか8%だった。これらの調査結果は、この数カ月間に発表された職場のセンチメント分析の結果とも一致している。つまり、パンドラの箱は開いてしまっており、従業員が大人しくリモートワークを諦めることはないということだ。
この対立は、企業が今後数カ月の景気後退に備えようとするに従って、激しくなっていく可能性がある。経済的な圧力が高まってきていることから、多くの企業がオフィス勤務の日数を増やしたいという意向を表明しており、雇用の凍結やレイオフが増えていることも、柔軟な働き方の自由の廃止が増えることを予感させている。
しかし、現時点では従業員の方が優位に立っていると言えるかもしれない。企業が未だに、IT関連やデジタル関連の職務の欠員を埋めるのに苦労しているからだ。
AND Digitalが最近英国で実施した調査によれば、企業経営者の81%が、デジタル人材の不足が事業に悪影響を与えていると考えている。このレポートでは、企業がその人材の穴を埋められなければ、年間2400億ポンド(約40兆円)の損失が出る可能性があると試算している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。