2014年にコンシューマー版の「Google Glass」が登場したときには、ヒューマンコンピューターインターフェイスの新時代が幕を開けたと言われたものだ。
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人々は、必要なすべての情報を常に目の前に表示しながら、日常を過ごせるようになると思われていた。
ところが、それから8年経った今でも、スマートグラスを身に付けて歩き回っている人はほとんど見かけない。
スタンフォード大学のElizabeth Gerber教授によれば、ここで得るべき教訓は、「テクノロジーはそれを求めている人にしか届かない」ということだという。
同氏は最近、スタンフォード大学のInstitute of Human-Centered Artificial Intelligence(HAI)が開催した秋のカンファレンスで行われたパネルディスカッションで、「人々がGoogle Glassを身に付けたがらなかったのは、プライバシーを侵されたくなかったであり、Google Glassが人同士のコミュニケーションを変えてしまうからだった。AIについて考える時には、Google Glassのことを思い返してみる必要がある。人々が求めるものでなければ、AIは普及しない」と語った(カンファレンス全体の概要についてはHAIのサイトに掲載されているShana Lynch氏の記事が参考になる)。
Gerber氏は、人々に求められるAIを設計することは、機能するAIを設計することと同じくらい重要だと続けた。同氏が挙げたもう1つの教訓は、新型コロナウイルスの影響で学校が閉鎖された際に導入された、「Zoom」越しに利用するAI家庭教師だ。このAIによって、勉強が嫌いになった子どもたちが出た。同じことが、AIを使用したシステムを使わなければならない労働者にも当てはまる、とGerber氏は言う。