Microsoftは米国時間1月16日、「Azure OpenAI Service」の一般提供を開始したと発表した。この製品は、「ChatGPT」の開発元であるOpenAIに対する同社の10億ドル(約1300億円)の投資と関連がある。
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今回の一般提供によって、より多くの企業が、OpenAIの訓練した大規模言語モデル(LLM)を「Microsoft Azure」上で利用可能になる(ただし利用申請が必要)。こうしたLLMには、ChatGPTが使用している「GPT-3.5」や、簡潔なテキスト入力から画像を生成するAIである「DALL・E 2」、GitHubのAIペアプログラミングサービス「GitHub Copilot」の土台となっている、「GPT-3」をベースにした「OpenAI Codex」などがある。
ChatGPT is coming soon to the Azure OpenAI Service, which is now generally available, as we help customers apply the world’s most advanced AI models to their own business imperatives. https://t.co/kQwydRWWnZ
— Satya Nadella (@satyanadella) January 17, 2023
Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は、世界経済フォーラム(WEF)におけるThe Wall Street Journalの討論会で、人工知能(AI)の影響について尋ねられた際、あらゆるMicrosoft製品にAI機能が搭載されるようになるとし、「それに備える最善の方法は、このテクノロジーにあらがわないことだ。このテクノロジーはあなた方の仕事や業務プロセスを支援するものだ」と述べた。
Microsoftは2019年、OpenAIに10億ドルを投資した。OpenAIはその見返りとして、Microsoftの汎用人工知能(AGI)に向けた取り組みの一環である同社のスーパーコンピューティングテクノロジー「Azure AI」上にAIモデルを構築した。OpenAIは290億ドル(約3兆7200億円)という評価額で投資を募っており、Microsoftは290億ドルの企業価値に基づいて100億ドル(約1兆2800億円)分の株式の取得に向けて交渉中だと伝えられていた。ChatGPTが2022年11月に公開されてからほどなくして、OpenAIのCEOはChatGPTの応答にかかるコストが10セント(約13円)に満たないと述べていた。このチャットボットは公開後1週間を待たずして100万人のユーザーを獲得している。
MicrosoftのコーポレートバイスプレジデントであるEric Boyd氏は発表の中で、Microsoft Azureの顧客は近々、Azure OpenAI Serviceを通じてChatGPTにアクセスできるようになるとした。同氏によると、ChatGPTの推論モデルを訓練、実行する際には、Azure AIのインフラが用いられているという。
これに関連する動きとして、OpenAIはChatGPTのAPIをリリースすると発表した。ただし、利用希望者はウェイティングリストに登録しておく必要がある。
Microsoftは2021年11月、Azure OpenAI Serviceを招待制で提供開始した。KPMGやMoveworks、Al Jazeeraなど複数の顧客が既にAzure OpenAI Serviceを利用しているという。
Microsoftによると、「Microsoft Power BI」は計算式や表現を生成する目的でGPT-3を既に活用しているという。また「Microsoft Designer」のAIによる画像生成でDALL・E 2も活用しているという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。