デジタル人材の育成プログラムを提供するGeneral Assembly(GA)と森ビルは2月14日、戦略的パートナーシップ契約を締結し、2月16日に説明会を開催した。
GAは2011年に創業し、米ニューヨークに拠点を置く。これまで10カ国・500社以上の企業を対象に、マーケティングやプロダクトマネジメント、デザインなどのプログラムを提供してきた。多くの大手企業を顧客に持ち、ウォルト・ディズニーでは女性エンジニアの育成、P&Gでは4大陸にまたがるスキルアッププログラムの構築を支援したという。
GA Chief Sales and Marketing OfficerのRoger Lee氏
GAでChief Sales and Marketing Officerを務めるRoger Lee(ロジャー・リー)氏は「当社は人材育成という領域の開拓者であり、12年前に『テックブートキャンプ』という概念を持ち込んだ。われわれは受講生・従業員候補者・雇用主を団結させ、新たな人材ルートの創出を目指している。世界中の企業と連携し、従業員をリスキリング/アップスキリングすることで、彼らの潜在能力を解放している。リスキリングは『新たなスキルを習得してもらうこと』、アップスキリングは『同じ分野でより高度なスキルを身に付けてもらうこと』を意味する」とアピールした。
今回の契約により森ビルは、同社が運営するオフィスのテナント企業を中心に、GAのプログラムを提案する。また、デジタル人材コミュニティーの拠点となる「キャンパス」を森ビルが運営管理する街に設立することを目指している。加えて、同社は全役員と一部従業員約150人を対象にGAのプログラムを活用したデジタル人材の育成に取り組んでおり、2023年春には全従業員約1600人に「DX教育」を導入する。
GAの日本進出には、森ビルだけでなく、アンカースターというベンチャー企業も関わっている。同社は、海外企業が日本に進出する際、マーケットエントリー戦略や人材交流などに関してコンサルティングを行う。今回はGAの事業戦略立案、日本企業との事業連携、市場調査、講師の採用、サービスのローカライズなどを支援する。森ビルへの紹介も同社が行った。
小中高校時代を米ロサンゼルスで過ごしたアンカースター 代表取締役社長の児玉太郎氏は2016年、育った地を訪れた際にGAと出会ったという。「GAのキャンパスを見学したところ、幅広い年代の大人たちがプログラミングなどを学んでおり、日本では見られない光景だと驚いた。その時からGAが日本に来ることを夢見ていた」と児玉氏は語った。
GAとの契約締結の背景について、森ビル 営業本部オフィス事業部営業推進部 部長の竹田真二氏は「当社は『都市の地力』を高めるため、さまざまなことを仕掛けてきた。地力の核となるのは人。どのような人がいるのかによって地力は変わってくる。日本企業は既存の事業や成功体験から抜け出せずに苦しんでいる。そんな中、自社が抱える人材をいかに新たな事業へ投入できるか、既存の事業を変革できる人材をいかに育てられるかが重要になっている」と説明した。