シスコは、ウェブ会議用ツール「Webex」にAIの新機能を複数の目的別に追加したと発表した。
新機能は、「Webex Platform」上に構築された3つのカテゴリー「ワークスペースの再構築」「コラボレーションの最適化」「顧客体験の最大化」において搭載されている。
「ワークスペースの再構築」では、「Cisco Collaboration」デバイスのシネマティックな会議機能により、カメラが音声や顔認識によって個人を追跡し、自動的にビューを切り替え、発言中の参加者を最適なアングルから捉える。これにより会議室内の参加者は発言者に集中でき、会議室にいないハイブリッドの参加者も対面で参加しているような感覚を持つことができる。
またIT管理者がオフィス内のコラボレーション空間に仮想的な境界線を設定し、これを会議ゾーンとすることができる「会議ゾーン機能」も追加された。同機能では、各参加者をフレーミングして密集させ、必要のない空間は削除する。設定された境界内の人だけが会議の参加者として表示される。こうした機能は往来が多いオープンスペースやガラス壁の会議室などでは特に重要な機能で、会議に無関係な人の映り込みがないため、参加者は会議に集中することができる。
「コラボレーションの最適化」では、低画質カメラや低帯域幅環境でも非常にクリアな映像をWebex会議で実現できるようになった。どのような環境でもベストな状態で会議に臨めるように、自動的に光の具合を調節し、暗すぎる、明るすぎるといった環境を改善できる。例えば、屋外の晴天下で仕事する場合、露出不足の映像を調節し人物がよりクリアに見えるようになる。
またユーザーがWebex会議で席を立つと自動的に「すぐ戻ります(BRB)」のメッセージを表示し、背景をぼかし、音声をミュートに切り替える。例えば、玄関のチャイムが鳴り、配達物を取りに席を立つ場合などは、席に戻るとBRBメッセージが自動的に消えるようになる。
「顧客体験の最大化」では、クラウドコンタクトセンターの機能を提供する「Webex Contact Center」およびクラウドコミュニケーションプラットフォームである「Webex Connect」など、顧客体験ソリューションのための新たなAI機能が導入された。
Webex Contact Centerの「Topic Analysis」は、顧客がコンタクトセンターに連絡してくる主な理由を明確にするという。コンタクトセンターの通話記録を集約し、傾向を簡潔にモデル化してビジネス解析に活用し、顧客のニーズに積極的に対応することが可能となる。この機能は自己学習型で、顧客とのやり取りから常に学び反映する。
またリアルタイムのエージェントコーチ「Agent Answers」も提供される。この機能はセルフサービスおよび自動化された顧客対応からの学びを自己学習型のコンタクトセンターにフィードバックする。リアルタイムのコーチ機能として、担当者が顧客に即座に提供できるナレッジベース記事や有益な情報を提供する。
さらにAIチャットサマリーにより、担当者は顧客と交わした長いデジタルチャットの履歴を読むことなく、対応済みの問題や解決策を把握することができる。これにより迅速で自動化された方法で顧客とのチャットの長文テキストを理解し、速やかに消化できるフォーマットで要点を提供することができる。
くわえて、現在Webex Connectに搭載されているWebexのローコードフロービルダーの機能に、ユーザーが「メールアドレスを認証する」など実行したい機能を説明するだけで、AIが適切なコードを瞬時に生成して返す機能を追加した。