最新のLinuxカーネル「Linux 6.3」が複数の新機能を搭載してリリースされた。
Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏は、開発者コミュニティーのメーリングリスト「Linux Kernel Mailing List(LKML)」で次のように述べた。「今回は穏やかなリリースだ。(中略)予定通り6.3をリリースして、楽しんでもらう準備ができた」

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今回のリリースの機能は、「Rust」やAppleの「M1」のサポートを盛り込んだこれまでのバージョンほどエキサイティングなものではないが、いくつか大きなものも含まれている。
Rustといえば、広く支持されているメモリー安全性に優れた言語であり、今回の新カーネルではユーザーモードLinuxにRustコードのサポートが追加された。
Linuxカーネル開発者で、RustをLinuxに導入する取り組みを主導してきたMiguel Ojeda氏は2月、「初めてのRustモジュールをアップストリームできるポイントに近づきつつある」と述べていた。
Linux 6.3カーネルのその他の機能には、IntelとAdvanced Micro Devices(AMD)の次期CPUおよびグラフィックスハードウェアのサポートと有効化が含まれている。これらのアップデートは主に将来のハードウェアに恩恵をもたらすものだ。一方で、現在のユーザーの日常的な体験に直接影響を及ぼす変更点もいくつかある。
Linux 6.3は、CPUの脆弱性「Spectre」を軽減するAMDの自動IBRS(Indirect Branch Restricted Speculation:間接分岐の投機的実行機能に対する制約の付加)機能をサポートする。これは、脆弱性の緩和策「Retpoline」に代わる、パフォーマンスへの負荷を抑えた代替手段を提供するものだ。
Linux 6.3には、ArmとRISC-Vの両アーキテクチャー向けに新しい電力管理ドライバーも含まれている。
ファイルシステムに関しては、NFS(Network File System)では暗号化方式AES(Advanced Encryption Standard)の「SHA-2」ベースのサポート、ext4(Fourth Extended File System)ではダイレクトI/Oパフォーマンスの最適化、EROFS(Enhanced Read-Only File System)では低レイテンシー解凍、およびBtrfs(B-tree file system)ファイルシステムドライバーの高速化を実現している。つまり、多くのファイル操作がさらに安全かつ高速になるということだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。