野村総合研究所(NRI)は7月4日、Oracleのローコード開発プラットフォーム「Oracle APEX」を活用し、大規模基幹系システムを構築したと発表した。これにより、複雑な業務処理や高いレベルのセキュリティといった高度な要件が求められる大規模基幹系システムにおいて、従来のプログラミングによる開発手法に比べ、直近の事例では期間が約30%短縮したという。
APEXは、アプリケーション開発に必要なさまざまなユーザーインターフェース(UI)のパーツを提供しているほか、高い拡張性を持っている。UIを構成するフロントエンドでは、コーディングすることなく配色やレイアウトをカスタマイズできるほか、必要に応じて独自のJavaScriptやCSS(Cascading Style Sheets)を追加できる。
バックエンドでは、SQLやPL/SQLによる少量のプログラムコードでロジックを開発でき、さまざまな外部接続にも対応している。これにより、外部システムとAPI連携できるほか、従来の手法で開発したバッチ処理やサーバーレスコンピューティングと組み合わせることも可能。
今回の結果を踏まえてNRIは、顧客企業が情報システムをローコード手法で開発する上で必要なコンサルティングから、実際のローコード手法によるシステムの設計・構築・運用に至るまで、一気通貫でサービスを提供するとしている。
現在、さまざまなローコード開発のためのプラットフォームが存在するが、プラットフォームによっては拡張性が低く、小規模でシンプルなアプリケーションの開発に利用が限定されてしまうという課題があったそうだ。
NRIは約20種類のプラットフォームを比較調査し、結果としてAPEXを採用。構築した大規模基幹系システムは、複雑なリスクスコア計算や高いセキュリティが求められる金融機関を対象としており、2023年2月のリリース以降、順調に稼働しているという。
このローコード開発により、開発者の数は従来のプログラミング方式と変わらないものの、システム開発やテスト工程の高速化が可能となった。その理由の一つとして同社は、APEXが提供する複数のUIパーツを組み合わせ、必要最小限のプログラミングで開発できたことを挙げる。
NRIは今後3年でOracle APEX開発者を300人以上育成し、同プラットフォームを活用したローコード開発を引き続き進めるとしている。