リコー社内のDX取り組み事情--業務高度化への工夫と実績

大河原克行

2023-07-11 06:00

 リコーは、社内の業務プロセスを可視化し、ITを活用して業務のDX化を推進する「プロセスDX」に取り組んでいる。同社が掲げる「OAメーカーからデジタルサービスの会社への変革」に向けた社内実践の一つであるとともに、これらの成果をメニュー化して、外販も行っている。

リコー コーポレート執行役員 プロフェッショナルサービス部長の西宮一雄氏
リコー コーポレート執行役員 プロフェッショナルサービス部長の西宮一雄氏

 コーポレート執行役員 プロフェッショナルサービス部長の西宮一雄氏は、「リコーは、使命と目指す姿として『はらたくに歓(よろこ)びを』を掲げ、そのためのお手伝いをしている。これを提供するには、リコー自身が自分たちの仕事に働く歓びを感じなければならない。社内プロセスをデジタル化し、価値を提供していくことが必要であり、社内のプロセスDXを重要な取り組みに位置づけている」と説明する。

 この取り組みでは、「企業風土・人材」「デジタルインフラ基盤整備」「カスタマサクセス 新たな顧客価値創造」に加えて、プロセスDXを支える「データ基盤整備と利活用促進」「社内プロセス変革。効率向上」を合わせた5つのイネーブラーを設定している。西宮氏は、「オペレーショナルエクセレンス(業務運用を徹底的に磨き上げることで、競争上の優位性を確立できていること)に向け、デジタルとデータを活用した全員参加型のプロセス改革活動を進めている。これがリコーのプロセスDXになる」と述べた。

リコーが定義した「プロセスDXの型」
リコーが定義した「プロセスDXの型」

 また、「プロセスDXの型」を定義している。業務の可視化や業務のモニタリング、データ分析による「可視化」、目的思考とゼロベース発想、プロセス再設計による「最適化」、RPA(業務処理を自動的に行うソフトウェアロボット)による自動化、ローコード手法による業務アプリケーション開発、データ活用やAI活用などの「デジタル化」を、プロセスDXを推進するフレームワークに位置づけた。

 さらに人材育成としては、同社独自のプロセスDXに関するスキル認定制度を実施し、その中でも、プロセスDXを実践するスキルを持った「シルバーステージ認定者」の育成率を2025年度で40%にまで高める計画を打ち出しているほか、基本理解を前提とした初級者向けの「ブロンズ」や、コンサルティング能力などを有する上級者向けの「プラチナ」「ゴールド」ステージの認定者を増やしていく計画も示した。

 「プロセスDXの人材育成は、リコーのESG(環境・社会・統制)目標の一つに位置づけている。プロセスDXを自律的に実践し、特定の機能や分野の業務に精通し、それらの経験やノウハウを基にコンサルタントとして、お客さまへの価値提供を支援することになる」(西宮氏)

DX人材の定義とステップアップ
DX人材の定義とステップアップ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]