GitHubは米国時間9月21日、GitHub.comの全ユーザーがパスキーを利用できるよう一般提供を開始した。
パスキーは、パブリックベータ版が7月に提供されており、多くの開発者が導入したと同社は述べる。今回の一般提供は、2023年末までに全てのコントリビューターを2要素認証(2FA)で保護し、ユーザー体験を損なうことなくプラットフォーム全体でセキュリティを強化するという同社のコミットメントを継続するものだという。
アカウントにパスキーを登録するには、アカウントのセキュリティ設定で「Add a passkey」をクリックする。セキュリティキーを設定済みの場合、「Upgrade」オプションが表示される。
パスキーは比較的新しい認証タイプなため、より大きなコミュニティーでの利用をより簡単にするにはどうすればよいかをGitHubは学んだという。
「Linux」と「Firefox」では、パスキーが強力にサポートされていないため、ユーザーが利用に苦労することがあったという。そのため、パスキーのクロスデバイス登録を可能にし、デスクトップを使いながらもパスキーをスマートフォンで登録できるようにした。パスキーはスマートフォンにあるが、デスクトップに接続し、デスクトップのブラウザー経由で設定・認証する。これにより、LinuxやFirefoxのユーザーもパスキーを設定できるようになったという。
GitHub.comに登録されているセキュリティキーの大半はハードウェアキーだという。ハードキーオーナーは、脅威モデルと同期サポートの欠如により、パスキーにアップグレードすることを望まないだろうと同社は予想していた。しかし、多くのユーザーは、互換性のあるセキュリティキーをパスキーにアップグレードしたという。そのため、アカウントのセキュリティ設定で上向矢印アイコンを互換性のあるセキュリティキーの横に表示し、すぐにアップグレードできるようにした。ただし、互換性の確認を2月に開始したため、互換性がある全てのセキュリティキーに同アイコンが表示されるということではないという。
出典:GitHub
また、一部のブラウザー、OS、セキュリティキーの組み合わせは、アップグレードに使われる再登録フローをサポートしておらず、GitHubが新しいパスキーをセキュリティキーに対して登録しようとするとエラーになるという。GitHubでは、デバッグ用のヒントを追加し、アカウントに登録されているセキュリティキーを削除してから新しいパスキーを登録するようにした。
同社の目標は全アカウントが複数の2FA認証情報を持ち、一つが紛失したり、利用不可になったりしても、ユーザーがサインできるようにすることだという。そのため、パスキーが利用されていない互換デバイスを使っている場合、パスキーの登録を促すプロンプトが表示される。パスキーを生成した後、登録を後回しにすることも、そのデバイスについては確認を再度表示しないようにもできる。
出典:GitHub
パスキーを登録していてもサインインでの利用が定期的でないユーザーは、このプロンプトに戸惑うことが実験を通じて分かったと同社。多くの場合、ユーザーは別のパスキーを登録しようとするが、その登録が失敗すると混乱するという。そのため、このプロンプトは時間をかけて順次導入することにしたという。パスキーの使用が増えるにつれ、より定期的にプロンプトを表示する予定だとGitHubは述べる。