NEC、製造DXの新パートナープログラムを始動--世界での復権めざす - (page 2)

國谷武史 (編集部)

2023-12-08 06:00

 NECは、イベントで幾つかのソリューションを来場したパートナー企業の関係者に示した。

 例えば、工場内などで部材や機器といった物を運搬する自律移動ロボット(AMR)の活用が期待されている。現状の移動ロボットでは、決められたルートのみの移動やメーカーが異なるロボットの一元的な運用が困難であるなどの課題があり、NECでは「マルチロボットコントローラ」を開発。事前にAMRの移動経路を設計でき、複数の種類・台数のAMRを一括して集中制御する。稼働中のAMRの情報からリアルタイムに移動経路を最適化したり、将来的には製造実行システム(MES)などの上位システムとも連携したりできるようにする。

「マルチロボットコントローラ」のソリューション展開構想
「マルチロボットコントローラ」のソリューション展開構想

 ここでは、自動車用変速機などで世界的なシェアを持つ武蔵精密工業のソリューションとの連携を進める。同社 常務執行役員 最高イノベーション責任者の伊作猛氏は、自動車部品メーカーの枠を超えたビジネス変革を目指しており、新規事業の一つとしてAIを活用した自動外観検査やAMRに取り組んでいると説明した。AMRについては、ニデックドライブテクノロジーからの無人搬送車(AGV)の事業譲渡を受けて「S-CART」ブランドで推進していく。これとAMR制御のソリューション「MAESTRO」を推進し、NECのソリューションも組み合わせることで、高度な自律移動車の仕組みを展開していくという。

 また、同プログラムに参画するデンソーウェーブは、製造現場の課題を解決するための「IoT Data Share」など十数種類のソリューションパッケージを開発している。一例では、生産機器などに後付けできる電力計などのセンサーから機器の稼働データと電力消費データを取得してエネルギー消費を抑制し、7つのライン全体で電力消費を17%削減したという。説明を行った執行役員の水越宏明氏によれば、同社では多品種少量生産ながら急な短納期案件への対応もあり、変則的な生産状況を改善し効率性を高めることに取り組んでいる。ソリューションパッケージはその成果の一端であり、今後はNECが展開するデータプラットフォームと連携したソリューションを展開していくとした。

 このほかにNECは、2024年1月にリリースする、映像データから人の作業や時間を自動的に検知、計測して分析、可視化する「映像AI分析ソリューション」や、2024年度にリリースする「デジタルロボット動作計画ソリューション」「フォークリフト自律遠隔搬送ソリューション」などを示した。

2024年1月にリリースする「映像AI分析ソリューション」
2024年1月にリリースする「映像AI分析ソリューション」

 映像AI分析ソリューションでは、作業での人の動きや時間を映像から分析することで、標準とは異なる手順などを検知することで品質や安全のリスクに対処できるようにするという。デジタルロボット動作計画ソリューションでは、複数の産業ロボットを協調制御させる動作計画の立案などをAIが自動的に行うことで、立案時間の大幅短縮と計画精度の向上が図れるとする。フォークリフト自律遠隔搬送ソリューションは、フォークリフトの自律制御や遠隔操作を可能にするもので、物流倉庫での作業の省人化に貢献できるとしている。

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