NECがこうした取り組みを推進する狙いは、日本と世界の製造業のギャップを埋めていくためだという。デジタルプラットフォームビジネスユニット マネージングエグゼクティブチーフアーキテクトの山本宏氏によれば、「インダストリー 4.0」で知られるドイツは、産業構造といった大きな仕組みをデジタルで高度化するアプローチなのに対し、日本では、人のスキルや情熱といった「人」中心のアプローチになる。
デジタルツインのフレームワークにおけるNECの注力領域
現状で日本は、このアプローチで製造業のDX化が進んでいるが、清水氏が指摘するように労働人口が減る一方であり、いずれ日本のDXは立ちゆかなくなる可能性が高い。このためNECでは、デジタルツインを活用し、特に生産管理やデータセンシングなどの領域に注力してAIなどによるデータ活用の仕組みに注力しているという。熟練者の特徴を「自然言語」「語感」「動作」の3つの属性として着目し、データ化とデジタルによって再利用可能な資産にするための「NECデジタルプラットフォーム」(NDP)を構築している。
デジタルツインでは「人」の自然言語・五感・動作に着目したデータ化、デジタル活用に取り組む
今回のプログラムは、こうしたNECのプラットフォームやソリューションとパートナーソリューションを連携、提供していくことで、「人」中心の日本の製造DXのアプローチをさらに高度化させるのが目的になるという。製造業の顧客がソリューションを活用してデジタルツインの取り組みで成熟度を高め、世界に通用する実績に成長させたい考えだ。
NECは、デジタルツインをグローバルで推進する「Digital Twin Consortium」に参画して、イベントでさまざまな取り組みを発表するなどしているという。こうした活動や今回のプログラムの将来の実績を通じて、「人」中心の日本の製造DXのアプローチを世界に展開し、日本の製造業を再び世界レベルに取り戻すことが最終的な目標だとしている。
「Digital Twin Consortium」への参画は、日本で培った製造DXの知見を世界標準に組み入れることだという