松岡功の「今週の明言」

140年の歴史を持つ老舗IT企業のNCRはどのように生まれ変わったのか

松岡功

2024-03-08 11:30

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本NCRコマース 代表取締役社長の小原琢哉氏と、Lenovoインフラストラクチャソリューショングループ CMOのFlynn Maloy氏の「明言」を紹介する。

「140年の歴史を持つNCRが次のステップに踏み出した」
(日本NCRコマース 代表取締役社長の小原琢哉氏)

日本NCRコマース 代表取締役社長の小原琢哉氏
日本NCRコマース 代表取締役社長の小原琢哉氏

 日本NCRコマースは3月5日、事業戦略について記者説明会を開いた。小原氏の冒頭の発言はその会見で、IT企業では最も老舗のNCRが新たなステージに向けて動き出したことを述べたものである。

 日本NCRコマースは2023年9月に、日本NCRから吸収分割して新社名になった。これは、米NCRが2022年末に事業分割することを発表し、2023年10月に、リテール、レストラン、デジタルバンキングを主な事業とする「NCR VOYIX(ボイックス)」と、ATMを主な事業とする「NCR ATLEOS(アトレオス)」という2社の上場企業を新設したことによるものだ。日本NCRコマースは米NCR VOYIXの間接子会社となり、「NCR VOYIX」ブランドの下でリテール、レストラン、デジタルバンキングなどの事業を日本で展開する形となる。

 小原氏はこの一連の動きについて、次のように説明した。

 「NCRは米国で140年、日本で104年にわたってビジネスを展開してきたが、時代が変化する中で、それぞれの事業においてスピード感や伸び具合が違ってきた。特に今回、米国本社が2つの会社に分割したのは、NCR VOYIXが担う事業は今後大きな成長が見込めるのに対し、NCR ATLEOSは安定した事業展開を図る必要があったからだ。また、両社の売り上げ規模がそれぞれ5000億円から6000億円と同じくらいなのも半分に分割する流れができた要因だ。日本では20年以上前にATM事業を分割していたので、日本NCRコマースが日本NCRの事業を実質的に継続する形となる」

 その上で、「今回の動きは、NCRとして事業を分割し、社名やブランドも一新したということで、140年の歴史において最も大きく次のステップに踏み出したと言っていい」と強調した(図1)。

(図1)NCRが事業分割して2社の上場企業を新設(出典:日本NCRコマースの会見資料)
(図1)NCRが事業分割して2社の上場企業を新設(出典:日本NCRコマースの会見資料)

 ちなみに、VOYIXというのは、「Voyage(航海)」と「X」を合わせた造語だ。小原氏によると、「お客さまに寄り添って新たな海へ『航海』に出ていこうという姿勢と、エクスペリエンスやトランスフォーメーションを指すとともにフィジカルとデジタルをクロスさせるという意味も込めた『X』を組み合わせた」とのこと。「当初は社員の間でも耳慣れない言葉でピンと来ない感じだったが、意味を理解して時間が経ち、今はすっかりなじんでいる」とか。

 ITからデジタルという言葉が盛んに使われるようになった中で、NCRは古い会社のイメージがあるが、図2に示すように、同社がフォーカスした市場では今も確固たる存在感を保持している。

(図2)NCRがフォーカスした市場での実績(出典:日本NCRコマースの会見資料)
(図2)NCRがフォーカスした市場での実績(出典:日本NCRコマースの会見資料)

 小原氏は今後の事業戦略におけるフォーカス領域として、「プラットフォーム」と「AI」をキーワードに挙げた。それぞれの概要は図3に示した通りだ。その内容を見ると、技術的にもビジネスモデルとしても最前線を行っていることがうかがえよう。

(図3)今後の事業戦略におけるフォーカス領域(出典:日本NCRコマースの会見資料)
(図3)今後の事業戦略におけるフォーカス領域(出典:日本NCRコマースの会見資料)

 以前の日本NCR社長に就任してこの3月で5年になる小原氏にとっても、「新たな航海」は経営のかじ取りにおいて手腕を発揮する格好の機会となりそうだ。

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