調査

経理の半数以上が「人手不足」、うち9割弱が「深刻」--Sansan調査

河部恭紀 (編集部)

2024-03-29 11:40

 Sansanは3月28日、「経理の人手不足に関する実態調査」の結果を発表した。

 同調査は、働き手不足が社会課題となる中、経理部門における実態を明らかにすべく、請求書を取り扱う業務に従事する経理担当者1000人を対象として3月18〜21日に実施された。

 自社の経理部門において人手不足を感じることがあるか聞いたところ、「感じている」または「どちらかといえば感じている」は50.1%、「どちらかといえば感じない」または「感じない」は49.9%だった。人手不足を「感じている」または「どちらかといえば感じている」と答えた人のうち、「かなり深刻」または「深刻」もしくは「やや深刻」との回答は85.2%に上った。

画像1
画像2

 人手不足を「感じている」または「どちらかといえば感じている」と回答した人に要因を聞いたところ、最も多かったのは「インボイス制度・電帳法対応に伴う業務の増加」(51.3%)で、「新たな経理人材を採用できないため」(48.1%)、「業務の自動化やシステム導入が進んでおらず業務の生産性が低いため」(32.1%)が続いた。インボイス制度開始から約半年、電子帳簿保存法の宥恕(ゆうじょ)期間終了から約3カ月が経過しても業務負担が続いていることが分かったとSansanは述べる。

画像3

 人手不足の要因について「経理担当者の高齢化による担い手不足」と回答した人の割合を地域別に見た場合、四国地方、北海道・東北地方、中国地方で顕著だった。割合が最も少ない関東地方でも2割を上回った。

画像4

 経理の人手不足による企業への影響としては、「経理処理のミスや漏れが生じる」(48.5%)、「残業や休日出勤などの時間外労働が増える」(47.7%)、「月次決算の遅れが生じる」(32.9%)などが挙げられた。

画像5

 人手不足による具体的な影響としては、「チェック体制がずさんになり後から修正する手間が増えている(食品・小売・飲食)」「人員不足のため、子供の体調不良など急きょ休みたい時に休みづらい(その他業界)」「ルーティン業務を回すことが精いっぱいで付加価値のある業務に手が回らない(製造)」など、働き方に影響が出ているというコメントが散見されたという。

 さらに「支払ミスが多く、また月次決算の遅れが生じ、タスク処理で手いっぱいになっており、経営判断ができていない(公共機関・非営利団体)」「月次決算の遅れにより経営判断が遅くなり、資金繰りに影響を及ぼしている(建設・不動産)」など、経営面にも影響が及んでいることも分かったと同社はいう。

 自社において経理の人手不足への対策をしているかを聞いたところ、「対策をしている」が31.9%だったのに対し、「対策をしていない」は68.1%だった。「対策をしている」との回答を企業の従業員規模別で見ると、従業員1001人以上では41.2%だったが、101〜1000人の企業では39.0%、100人以下の企業では22.0%という結果だった。

画像6

 人手不足を感じている人に対して、自社に求める人手不足対策を質問したところ、「人員増加のため、採用に力を入れてほしい」(56.1%)が最多で、「DXツール導入など、業務の生産性向上に取り組んでほしい」(40.7%)で続いた。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応によって、経理担当者の業務負荷がさらに増える中で、新たな経理人材の獲得はもちろんのこと、DXツールなどの活用による生産性の向上も企業に求められていることが分かったとSansanはコメントする。

画像7

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]