SMBC日興証券は、同社の全社員約1万人が利用する情報システム基盤を「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上に移行した。日本オラクルが4月2日に発表した。
従来はオンプレミスの「Oracle Exadata」で稼働していたが、「Oracle Exadata Database Service」を用いてクラウド化した。また東京/大阪リージョンを活用し、事業継続計画(BCP)対策強化のための災害復旧(DR)環境と定期的なバージョンアップを推進する検証環境を構築した。
今回の移行はシステムの単純更改ではなく、セキュリティ強化やシステム拡張などに人材やコストなどのITリソースをシフトする方針で進められた。クラウド化に当たっては従来の環境と同等の性能、ユーザーへの影響を極小化し確実かつ短期間での移行、可用性の向上を目指した。
旧システムから約40テラバイトのデータ移行を短い停止時間で実行するため、「OCI GoldenGate」を活用した。クラウド化された本番環境では、従来環境と同等以上の性能を実現しながら、柔軟なリソース変動が可能になった。さらにデータ量やユーザー数の増加に伴うシステム拡張も迅速に行えるようになった。
新たなDR/検証環境では、「Oracle Data Guard」で本番環境とのリアルタイムなデータ連携を実現し、可用性を強化している。検証環境を活用し、定期的なバージョンアップを行うことで、一斉に行っていた従来の大規模な更改から脱却し、セキュリティ向上も実現している。さらにコスト面でも、今後5年間で2億円程度の運用コストの低減が見込まれている。
なお、今回のシステム移行では、日興システムソリューションズが東京リージョンでの本番環境と大阪リージョンでのDR/検証環境の設計・構築を行った。またアクセンチュアが、システム移行全体の戦略策定、プロジェクトの推進、設計、構築を支援した。さらにNTTデータが提供するパブリッククラウド活用ソリューション「A-gate」の導入により、高度なセキュリティカバナンスと情報漏えいを防ぐセキュリティ対策を実現した。