クニエは6月17日、「データマネタイゼーション・アイデア抽出サービス」の提供を発表した。同サービスは、企業の保有データから新規ビジネスの可能性を抽出・一覧化し、事業化の可能性評価や有望なアイデアの選定を支援する。
同日に開催した記者説明会では、クニエ 新規事業戦略担当の天野秀俊氏が、同サービスの詳細を説明。ナブテスコ 住環境カンパニー 新事業推進部長の黒須昭仁氏とサイキンソー 知財戦略室 室長の渡辺諭史氏が、クニエのデータマネタイゼーション支援の事例を紹介した。
クニエは、NTTデータグループの子会社として2009年に設立したコンサルティング企業。製造から流通・小売り、金融など多岐にわたる産業を対象に多種多様なコンサルティングサービスを提供している。
クニエ 新規事業戦略担当の天野秀俊氏
同社は、データ活用のうち、「新たな収益源を創出」することをデータマネタイゼーションと定義している。データマネタイゼーションの市場規模はグローバルで拡大しており、日本でもNTTドコモによるモバイル空間統計や本田技研工業(ホンダ)によるリアルタイム走行データなど、データマネタイゼーションの事例は多く挙げられる。また同社は、他社のデータを活用するビジネスが増えることで、データマーケットプレイスモデルが伸びていくと予想している。
その一方、データマネタイゼーションの事業化や収益化は難しい。課題は複数あるが、天野氏によると「特にデータマネタイゼーションに取り組む日本企業が少なく、ビジネスの仕方が分からないという問題から、取り組もうとしても経営陣からストップがかかってしまうケースがある」という。また、データ収集やシステム作りに注力してしまい、顧客のニーズに理解がないという点も指摘している。
データマネタイゼーションの推進課題と事業化の5カ条
クニエでは、このような課題を踏まえて、データマネタイゼーションに取り組む多くの企業がつまずく「アイデア創出」のフェーズをサポートするため、データマネタイゼーション・アイデア抽出サービスの提供を開始する。
新規ビジネスの進め方は、(1)アイデア抽出、(2)検証、(3)事業計画、(4)準備、(5)グロース――の5つのフェーズに分かれる。今回提供するデータマネタイゼーション・アイデア抽出サービスは、(1)アイデア抽出のうち「データアセットの整理」「アイデア創出」「選定」の3段階に分けて支援を行う。
データマネタイゼーション・アイデア抽出サービスの概要
具体的には、企業の保有データを洗い出し、データが持つ価値を整理。データを生み出している既存事業のステークホルダーやカスタマージャーニーの観点からターゲットになる顧客を網羅的に洗い出し、主要業務や重要成功要因(SF)を整理する。これらをデータが持つ価値と掛け合わせることで、データマネタイゼーションのアイデアを抽出するという。
データの価値
評価・選定のフェーズでは、マネタイズの可能性や実現性を評価。以降のフェーズで実際に事業化の検討に進む有望なアイデアを選定し、概略の企画書を作成する。
同サービスは、保有データを活用した新規サービスやデータ販売などの新たな収益源の創出を目指す企業を対象にしているという。特に、IoTの製造企業や医療・ヘルスケア、販売情報、位置情報などのマーケティングに活用できるデータを持つ企業、複数の事業を保有する企業にとって有益なサービスになるとしている。
同サービスの利用期間は最短1.5カ月、価格は500万円からとなる。今後、検証フェーズ以降の各フェーズのサービス化を予定しており、検証フェーズにおいてはGoogle Cloudのビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Looker」を活用した、短期間でMVP(Minimum Viable Product)を構築するサービスを2024年度中に展開する予定だという。