起点は注文商品のピックから--Uber Eatsの新サービス、「まいばすけっと」で開始

大場みのり (編集部)

2024-06-27 09:30

 イオンとまいばすけっとは6月26日、Uber Eats Japanのオンラインデリバリーサービス「Uber Eats」の新機能「ピック・パック・ペイ」(PPP)を「まいばすけっと」で導入すると発表した。同機能の導入は日本で初となる。

 まいばすけっとは、イオングループの都市型小型食品スーパー。PPPは、Uber Eatsの配達パートナーが注文商品のピック作業(必要な品物を集める作業)から袋詰め、会計、配達までを一貫して行う機能で、イオンとまいばすけっとは東京23区・横浜市・川崎市の20店舗で導入し、2024年12月末までに1000店舗での展開を目指す。PPPでの配達の報酬は通常より高いほか、配達パートナーは同機能での依頼を受けない選択も可能である。

(左から)Uber Eats Japan グロサリー・リテール事業 ゼネラル・マネージャーのYulia Brovkina氏、まいばすけっと 取締役 管理本部長の山本浩司氏、イオン DX 推進担当の菓子豊文氏
(左から)Uber Eats Japan グロサリー・リテール事業 ゼネラル・マネージャーのYulia Brovkina氏、まいばすけっと 取締役 管理本部長の山本浩司氏、イオン DX 推進担当の菓子豊文氏

 配達パートナーは、配達依頼を承諾後、注文の詳細を確認。店舗に到着したら手指を消毒後、買い物リストを基に注文商品のバーコードをアプリで読み取り、商品をピックアップする。注文商品とは異なるものを読み取った場合はアプリ上でアラートが表示される仕組みだ。支払いはPPP支払専用のデジタルカード「Plus Card」で行い、レシートの情報をアプリで読み取る。その後は通常通り商品を専用バッグに入れ、配達先へ向かう。PPPの提供に当たり、店内の商品位置をアプリ上で確認できる商品棚情報連携機能も搭載された。

説明会では、まいばすけっとの店内でデモンストレーションを実施。配達パートナーに扮(ふん)したUber Eats Japanの従業員が商品の注文商品のバーコードをアプリで読み取る様子
説明会では、まいばすけっとの店内でデモンストレーションを実施。配達パートナーに扮(ふん)したUber Eats Japanの従業員が商品の注文商品のバーコードをアプリで読み取る様子
誤った商品を読み取った場合はアラートが表示される
誤った商品を読み取った場合はアラートが表示される

 スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、配達パートナーの到着時に注文商品が品切れしているリスクがある。これに対しPPPでは、代替商品の提案を注文者に自動で行うほか、注文者が別の商品の購入を依頼できるチャット機能も搭載している。酒類の注文では、あらかじめ注文者の年齢確認を行うほか、20歳以上の配達パートナーを割り当てる仕組みとなっている。

 スーパーマーケットをはじめとした小売店舗では、注文商品のピック作業などを担当する人員を確保できず、Uber Eatsの導入に踏み切れない事業者も存在するという。Uber Eatsは、配達パートナーが商品のピック作業などを店舗スタッフの代わりに行うPPPの提供を通して、加盟店の拡大を図る。

 イオングループも課題を抱えており、イオン DX 推進担当の菓子豊文氏は「クイックコマース(即時配送サービス)の領域では、正直あまり成功していない」と述べた。ピック作業などを行う人員の確保は難しく、会計の代行では正確性の担保にも懸念があった。PPPについて、菓子氏は「店舗にとっては作業の負荷が一切なく、大きなアドバンテージを感じられる」と評した。

 Uber Eats Japan グロサリー・リテール事業 ゼネラル・マネージャーのYulia Brovkina(ユリア・ブロヴキナ)氏は「当社の強みはオペレーションにある。現在47都道府県でサービスを展開しており、10万人以上の配達パートナーに支えられている。だからこそ、加盟店や消費者の方々により大きなインパクトを提供できる」とアピールした。

 イオンは、都市型店舗のまいばすけっとでクイックコマースを推進することで、都内・東京近郊でのシェア拡大を図る。注文可能な品数は、店舗と同等の3000SKU(Stock Keeping Unit:受発注・在庫管理における最小単位)を計画している。

 イオングループでは「おうちでイオン」「Green Beans(グリーンビーンズ)」などのネットスーパーを運営しているが、PPPの特徴は「すぐに届くかどうか」(菓子氏)だという。「例えば熱を出して発熱時冷却シートや飲料水などが緊急で欲しい場合は、クイックコマースが強い。しかし、計画的に商品を購入できるお客さまに関しては、イオンの店舗が近隣にあればおうちでイオン、なければGreen Beansを使っていただける。複数の選択肢を提供することで、お客さまのライフスタイルに合わせられる」と同氏は力を込めた。

 クイックコマースを既に推進しているコンビニエンスストアとの差別化について、菓子氏は「まいばすけっとの品ぞろえ」を挙げた。イオンのプライベートブランド「トップバリュ」は価格の面でも優位性があり、これまで接点が少なかった都内・東京近郊の消費者にも商品を提供できることには大きな価値があるという。

 Brovkina氏は「PPPは加盟店、注文者、配達パートナーにとって『win-win-win』である」と述べた。注文者はより多くの選択肢の中から注文でき、配達パートナーは新しい報酬獲得の機会を得られる。加盟店は人員を追加することなくUber Eatsを開始できるほか、商圏を拡大してより多くの消費者に商品を提供できる。

 そのほか社会的な意義もあるといい、外出して買い物をすることが困難な高齢者などが抱える「食料品アクセス問題」の解消にも寄与することが期待される。PPPを既に提供している米国やオーストラリアでは、6万以上の加盟店が同機能を導入している。

 イオンとまいばすけっとは、クイックコマースでの売り上げを食品部門のデジタル売上全体の5~10%にすることを目指している。イオングループ全体では、将来的にECでの売り上げを全体の約20%に引き上げることを見据えているという。

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