Infoblox、サイロ化したDNS/DHCP/IPAMを統合する新サービス群を発表

國谷武史 (編集部)

2024-09-26 10:15

 Infobloxは米国時間9月25日、オンプレミスやクラウドでサイロ化しているネットワークとセキュリティ対策を統合管理する「Infoblox Universal DDI」と資産を可視化する「Universal Asset Insights」、ネットワーク基盤機能のクラウドモデル「NIOS-X as a Service」を発表した。同社は、オンプレミスやクラウドでサイロ化しているネットワークとセキュリティ対策が障害発生やセキュリティリスクを高めていると指摘する。

 同社は1999年に創業し、DNS、DHCP、IPアドレス管理(IPAM)で構成される「DDI」ソリューションを手掛ける。「NIOS」は、DDS機能を提供する同社の専用OSで、アプライアンス版と仮想化環境で動作するソフトウェア版を提供している。

Infoblox 最高マーケティング責任者のBrad Rinklin氏
Infoblox 最高マーケティング責任者のBrad Rinklin氏

 新サービスについて同社 エグゼクティブバイスプレジデント 最高マーケティング責任者のBrad Rinklin氏は、「現在の組織環境では、DDIがオンプレミスやクラウドでサイロ化しており、障害発生やセキュリティリスクを高めている。Universal DDIをはじめとするわれわれの新たな取り組みは“ゲームチェンジャー”になる」と述べる。

 Rinklin氏は、その背景にDX推進などに伴うハイブリッド/マルチクラウド化があると指摘する。組織では、従来のオンプレミスを中心とするDNSやDHCP、IPアドレスなどをネットワーク管理チームが担う一方、新規に開発されたシステムではクラウドプロバイダー独自のDNS機能などが利用され、管理も開発側が担う。さらに、マルチクラウド化で複数のクラウドプロバイダーの独自機能が存在するようにもなっている。

 同氏は、このようなサイロ化状態が障害発生などのリスクを高め、既に顕在化しているとも話す。例えば、大手銀行では、オンプレミス、Amazon Web Services(AWS)、Microsoftの「Azure」、Google CloudでそれぞれDNSを利用し、管理も別々だった。ある時に、ネットワーク管理者が設定変更の際にタイプミスをして、システムが4時間にわたりダウンし、数億ドルの損失が発生した。また、大手のSaaSベンダーも同様にオンプレミス/マルチクラウド環境で異なるネットワークサービスを運用していたところIPアドレスが競合してルーティングに問題が発生し、業務システムが停止するトラブルが起きた。

 サイロ化状態が続けば、人為ミスが起きやすく、運用管理の手間やコストも増大する。異なるクラウド間でIPブロックが不適切に使用されたり、クラウド内でサブネットの重複や競合が発生したりしかねず、古いDNSレコードが脆弱(ぜいじゃく)性をはらむリスクもあるという。Rinklin氏は、このため同社のDDIソリューションを刷新することにしたと説明する。

新サービス群
新サービス群

 新サービスのInfoblox Universal DDIはSaaSで提供され、オンプレミスやコンテンツ配信ネットワーク(CDN)、各種クラウドプロバイダーなどに存在するそれぞれのDNS、DHCP、IPAMを「INFOBLOX PORTAL」に統合して一元的に運用と管理できるようにする。これによりサイロ化状態の解消と運用の簡素化、自動化への準備を図ることができ、ミッションクリティカルなネットワークサービスの安定性が向上するという。

Infoblox Universal DDIの利用構成イメージ
Infoblox Universal DDIの利用構成イメージ

 また、Universal Asset Insightsでは、オンプレミスやクラウドにあるネットワーク接続された資産を検出し、ダッシュボード上での可視化、資産状態の各種分析とグラフィカルレポートによる把握を支援する。特に管理下になかった“ゾンビサーバー”の存在を発見して、セキュリティリスクの低減や無駄なリソース消費の削減を図ることができるとする。

Universal Asset Insightsの利用構成イメージ
Universal Asset Insightsの利用構成イメージ

 NIOS-X as a Serviceは、NIOSの機能をクラウドサービスとして提供するものになり、顧客は、NIOSのインフラ資産を保有することなく、利用に応じたコストで効率的にDDIのソリューションを活用していくという。

 Rinklin氏は、「新たなDDIのソリューションは、一元的な運用管理による最適化、網羅的な可視性、未管理資産の発見による適正化、運用自動化の推進といった効果を実現する。顧客にとってこれが戦略的な資産となることを期待している」と述べている。

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