ネクシオンとNECは協業し、放送メディア業界向けにローカル5Gを活用した新たな映像伝送サービスを開始する。同サービスは、ネクシオンが全国のアリーナ、スタジアム、スポーツ施設、イベント会場などに敷設した映像伝送ネットワークと、NECのローカル5G技術を統合したものであり、番組制作コストの削減やリモートプロダクションの実現を支援する。サービス提供は4月24日から、ネクシオンの回線接続サービスのオプションとして開始される。
従来、スポーツやイベントの映像制作には中継費用、スタジオ費用、編集費用など高額なコストが発生していた。そのため、放送メディア事業者にとっては新たな映像コンテンツ制作や映像ビジネスの拡大に向けた事業開発が課題となっていた。こうした背景を受け、同サービスでは、ネクシオンが持つ光ファイバー回線を用いた全国規模の映像伝送ネットワークと、広いエリアをカバーし大容量ワイヤレス通信が可能なNECのローカル5G技術を組み合わせる。これにより、ワイヤレスカメラなどで撮影した映像を放送局までワンストップで伝送する仕組みを提供するという。

サービス概要図
同サービスの主な特徴として、まず番組制作コストの削減が挙げられる。ほかの無線通信の電波干渉を受けにくく、接続が切れにくいローカル5Gと既設の映像伝送ネットワークを利用するため、従来の有線カメラや中継設備による方法と比較しても遜色のない、信頼性・安全性の高い映像伝送環境を低コストで提供できる。これにより、放送メディア事業者は高額な中継設備の維持管理にリソースを費やすことなく、より効率的な映像コンテンツ制作を行うことが可能となる。
次に、撮影現場から放送局やスタジオまで映像をワンストップで伝送し、リモートプロダクション環境を実現する点がある。現場付近に中継設備を設ける必要がなく、撮影や映像編集などに携わる多数の関係者が現場や放送局に分散していても、リアルタイムで通信しながら番組制作を進めることができる。さらに、ローカル5Gを活用した、機動性の高いワイヤレスカメラを利用することで、高精細な自由視点映像の制作やリアルタイム配信といった、コンテンツ制作の可能性を広げる。
また、異なるメーカーの機器を組み合わせるマルチベンダー環境にも対応。NECがこれまで培ってきたスポーツ中継の実績とマルチベンダー環境の構築経験、そしてネクシオンの映像伝送における柔軟性と対応力を融合させることで、様々な機器を組み合わせて使用したいという顧客のニーズに柔軟に対応する。
今後の展望として、両社は撮影現場のローカル5Gネットワークのセキュリティ確保に加え、接続端末の通信状態や電波状況をリアルタイムで可視化できるようにする。これにより無駄のないカメラクルーの動線確保を可能にするサービスや、ローカル5Gをはじめとした高速無線通信を統合し、会場内のネットワークを効率化するネットワークサービスの提供が可能になるとしている。