海外コメンタリー

マイクロソフトの「Azure」発表から10年にみる変化

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-11-06 06:30

 Microsoftのクラウドプラットフォーム「Azure」が正式に発表されたのは、ちょうど10年前のこの時期にロサンゼルスで開催されていた「Professional Developers Conference(PDC)2008」でのことだ。その後、いくつかの関連製品の名称は変更され、同社の計画は、すべてではないが実現された。その過程で、AzureがMicrosoftの中核サービスの1つになったことは、誰にも否定できないだろう。

 Microsoftが最初に「Windows Azure」とされていたものを説明したとき、多くの人は同社がデータセンターで運用する「Windows Server」が提供されるのだと考えた(筆者の意見では、これは最初の説明の試みとしてはそれほど悪くなかったと思う)。

 「Red Dog」というコードネームのAzureのオペレーティングシステム(このコードネームは、シリコンバレーにあったストリップ劇場の名前をもじったものだとされる)は、「VMS」と「Windows NT」を生んだDave Cutler氏を含む、MicrosoftのOS専門家のチームによって設計された(ちなみにPDCでは、Azureの開発チームは「Red Dog」の名前にちなんで赤い靴を履いていた)。

 筆者は2008年に、このOSについて次のように説明した。

 Red Dogは、Microsoftがホストするクラウドを含む「Windows Server 2008」マシン一式をネットワーク化し、管理するものである。最上位レベルでは、Red Dogは4つの「柱」で構成される:ストレージ(ファイルシステムのようなもの);モデリング/配備そしてプロビジョニングのための管理システムである「ファブリックコントローラ」;仮想化されたコンピューテーションまたはVM;そして開発者がRed Dogをデスクトップ上にエミュレートさせ、それに対してクラウドアプリを書くことができる『Visual Studio』『Eclipse』またはその他のツールをプラグインさせる開発環境。Red Dogは、仮想化技術の使用により、MicrosoftはRed Dogを1台のマシンに配備するだけで、次に複数のインスタンスが、残りのクラウド内のサーバに複製することができるように設計されている。

 かつて電子メールでの取材に応じてくれたCutler氏は、この4つの柱のうち、重要なのはファブリックコントローラだと語った。Cutler氏は次のように述べている。

 われわれの考えでは、RD(Red Dog)に大きな優位性を与えているコンポーネントは、ファブリックコントローラだ。ファブリックコントローラはクラウド上のすべてのリソースを管理し、ノードのサブセットから構成された耐久性の高いクラスタ上で動作する。また、人間による運用の介入なしに、クラウド中のノードの配置、プロビジョニング、更新、パッチの適用、キャパシティ、負荷分散、スケールアウトを管理している。

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